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甲子園を観戦、え?球審がイメトレの恩師! 広田遙さん

8/9(水) 21:30配信

朝日新聞デジタル

■甲子園観戦記 元トランポリン選手・広田遥さん

 え、第1試合の球審の西貝さんって、まさか。高校野球の審判をされていたのは知っていたけれど。中学3年からメンタル面のアドバイスを受けた西貝雅裕さんです。穏やかな方。こんな偶然ってあるんですね。迫力のある声を出されていつもの雰囲気と違います。頑張ってください!

【写真】

 小学6年でトランポリンを始めました。本番で力を発揮できないで悩んでいたとき、体育教員の西貝先生からイメージトレーニングを教わりました。優勝して、周りの人が喜んでいる様子までをイメージする、ポジティブな考え方です。おかげで大事な場面でも安定して力を出すことができるようになり、高校2年の全日本で初優勝。それから10連覇を達成しました。

 甲子園には、阪神を見に何度か来たけど、高校野球は初めて。一人一人の思いがグラウンドに集まっている。鳥肌が立ってきました。

 盛岡大付のエース平松君が一回、暴投で1点先取された。「緊張するのは当たり前、次は自分のピッチングをみせてやろう」と攻めの気持ちを忘れず頑張って。

 トランポリンは個人スポーツ。試合はたった1分で終わっちゃう。その瞬間に向けて全力でコンディションを上げて集中します。失敗してもやり直しができない。野球はチームスポーツで、誰かが失敗しても、仲間が力を合わせて乗り越えられる。勝ったとき喜びを共有できる。そんなチームワークにあこがれます。

 現役のころ、いつも考えていたのは周りの人たちへの「感謝」の気持ちです。一番実感したのは北京五輪。大会前、強化練習中のアクシデントで恥骨を骨折し、右足を肉離れしました。一番つらかった。1カ月安静にするよう診断されたけど、大会に出たくて、10日後に練習を始めました。必死にトレーナーさんが深夜まで治療してくださった。母も栄養面をはじめ献身的にサポートしてくれた。

 観客でいっぱいの五輪会場で、支えてくれた人の存在を改めて実感しました。自分のためではなく力をくれた人たちのために頑張りたい。心の底からどれだけ思えるかが、試練を乗り越えるために大事なことだと思います。

 作新学院、九回表に2死満塁まで攻めたのに……。甲子園の土、持ち帰るんですね。悔しさを忘れないためにでしょうか。今はつらくても、長い人生では野球を一生懸命やったことが自信につながるはずです。

 選手一人ひとりの「感謝」の気持ちが集まって輪になり、大きな力になる。それが甲子園なんですね。(構成・橋本佳奈)


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 〈ひろた・はるか〉 1984年、大阪府出身。小6でトランポリンを始め、全日本選手権で01年から史上初の10連覇。04年アテネ五輪は7位入賞、08年北京五輪は12位。11年に引退。阪南大卒業後、同大学職員に。

朝日新聞社