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「日本への渡航に注意喚起」の記事も…「二重に申し訳ない」福島2号機調査で謝罪した東電ミスの波紋

8/9(水) 9:30配信

産経新聞

 「650シーベルトは、80シーベルトの誤りでした」-。東京電力は2月に福島第1原発2号機で行った原子炉格納容器内調査で毎時650シーベルトという高い放射線量が推計される場所があったとした発表を、半年後の7月末に大幅に下方修正した。原因は機器の設定ミスなど。2月の発表時には海外メディアで「福島原発で放射線量が上昇」という誤報も発生するほど衝撃的だった。東電は「ご心配をおかけした上に、数値も間違っていた。二重に申し訳ない」と謝罪した。(社会部編集委員 鵜野光博)

■「設定変更」元に戻さず

 東電が訂正したのは7月27日の定例会見。投入した堆積物除去ロボットが撮影した画像のノイズを基に、一定の明るさ以上のノイズを放射線の影響によるものとして推定した。しかし、この「一定の明るさ」が低く設定されていたため、線量が大きく推定されたという。

 東電によると、ロボットは工場から現場に持ち込まれた際には正しい設定値だったが、作業員が調査前の動作試験で設定値を低く変更し、元に戻さないまま調査を行った。さらに、推定値の対象として設定する放射性物質を、本来はセシウム137とすべきだったのをコバルト60としたことも、過大な数字の原因になったという。

 設定を見直した結果、原子炉圧力容器真下に向かう機器交換用レールで毎時650シーベルトとされた推定値は同80シーベルトに、圧力容器を支える土台外側での毎時530シーベルトは同70シーベルトに訂正された。

 レール上では線量計による実測値も発表されていたが、これも当初の毎時210シーベルトから同70シーベルトに訂正された。ロボットに搭載した4個の線量計のうち2個の測定値を基に算出したが、そのうちの1個が他の線量計より常に高い値を示していたことが確認。各線量計の測定値の平均から算出し直したという。

■海外メディア混乱も

 会見した福島第1廃炉推進カンパニーの増田尚宏最高責任者は、ノイズ分析の設定について「元に戻さなかった理由は、われわれにも分からない。現場でいじるべきものではない」「(設定変更は)指示として出ていなかった。そこから曖昧だった」などと苦しい説明を重ねた。

 下方修正された数値でも放射線量が極めて高いことに変わりはないが、2月に発表された「毎時650シーベルト」のインパクトは大きく、国内のメディアは大きな見出しでこれを報道。海外では米ニュースサイト「ギズモード」が「事故のあった福島原発で放射線量が上昇」といった見出しの記事を掲載した。国内の中国情報サイト「レコードチャイナ」は「福島原発内で高い放射線量、中国外交部が日本への渡航に注意喚起」との記事を掲載。米原子力学会が「多くのメディアが発電所の放射線量が上昇したと伝えているが、明らかな間違いだ」とする意見をサイトに掲載するなど混乱を招いた。

 増田氏は「650という数字も環境への影響の有無を申し添えずに出してしまって皆さんにご心配をおかけしたのに、その値も間違っていたので、二重に申し訳なく思っている」と謝罪。「速報性を重視した」としつつ、「前の調査でもっと低い数値が出ており、もう少し考察してから言うべきだった」と反省の弁。「今後は環境や地元に影響を与えるかどうかをしっかりと説明した上で、間違いがないようにしたい」と述べた。

最終更新:8/9(水) 9:30
産経新聞