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「ありがとう日本アルプス」今回も台風から長野県を守る そのメカニズムは…

8/9(水) 9:00配信

産経新聞

 8日未明から朝にかけて、長野県内に最も接近した台風5号は、3千メートル級の山々が連なる日本アルプスに進路を阻まれ、予想に反し、県内を通過しなかった。台風が県内に接近する度にこの「鉄壁」の存在が取り沙汰され、「長野県民は台風被害から守られている」との声もある。気象庁による過去5年分の台風データを集計しながら、日本アルプスと台風の関係をひもといた。(三宅真太郎)

 ■ツイッターに感謝相次ぐ

 「守ってくれてありがとう。日本アルプス」

 8日午後、降雨が落ち着き始めたころ、短文投稿サイト「ツイッター」に、県民からと思われる書き込みが相次いで投稿された。台風による影響が懸念された県内では、松本市などで一部地域の住民が自主避難し、交通機関でも混乱が生じた。近隣の県では川が氾濫するなどの被害が出たが、進路から外れた県内に大きな被害はなかった。

 気象庁が発表した台風5号の経路図をみると、7日午後3時半ごろ、和歌山県北部に上陸した台風5号は北東に進行。だが、長野県南部で進路が北寄りに変わり、富山湾に抜けた。

 この進路変更に大きな役割を果たした存在が、北アルプス(飛騨山脈)、中央アルプス(木曽山脈)、南アルプス(赤石山脈)の総称「日本アルプス」だ。

 台風は暖かい海面から供給された水蒸気が上昇してできる積乱雲の集合体。気象庁アジア太平洋気象防災センターの室井ちあし所長によると、台風の最低地点は数百メートルから千メートル程度、最高地点は1万メートル程度に達するという。

 この台風が、北岳(3193メートル)や奥穂高岳(3190メートル)など3千メートル級の山々が連なる日本アルプスを通過しようとすると、台風の下部に吹き込む風が山にぶつかり、本来の勢力が衰える。すると、台風は分裂してしまう。

 ■5年で4個が進路変更

 長野地方気象台の佐藤義之気象情報官の協力を得て、平成24~28年の5年間で日本列島に上陸した18個の台風を調べると、県内に接近した11個の台風のうち、日本アルプスに阻まれ進路を変更したとみられる台風は4個あった。

 佐藤情報官は「過去のデータをみても、県の中央部を通過した台風はほとんどない。山の影響を受けて北か南にそれている場合が多い」と分析する。

 一方、台風5号の影響を受け、7、8両日は県南部を中心に激しい雨が降った。8日午後5時現在の24時間降水量は、御嶽山で162.5ミリ、南木曽は154.0ミリで、気象台と県は土砂災害警戒情報を発し、厳重注意を呼びかけた。

 佐藤情報官は「台風が県内を直撃しなくても、降雨による土砂災害などの危険性は十分に潜んでいる」と注意を促している。

最終更新:8/9(水) 9:00
産経新聞