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被爆徴用工の名簿3400人分廃棄 批判の声 証明困難に 長崎法務局

8/9(水) 9:42配信

西日本新聞

 戦時中に三菱重工業長崎造船所(長崎市)に徴用されるなどし、被爆したとみられる朝鮮半島出身者約3400人分の名簿を保管していた長崎地方法務局が、名簿を廃棄していたことが分かった。名簿は元徴用工が被爆者健康手帳の交付を申請する際、被爆を裏付ける物証となり得るため、支援団体は「書類保存を求めた法務省通達に反する対応だ」と批判している。

 法務省によると、政府は戦後、帰国した元徴用工らに未払い賃金などがある事業所は、名簿と未払い賃金を法務局に供託するよう指導。同省は1958年、朝鮮半島の徴用工に関し、民法が定める時効(10年)を過ぎても供託金を国庫に納付せず、名簿などとともに法務局に保存するよう通達した。

 元徴用工の韓国人3人が2014~15年、長崎市に手帳交付を申請した際、市は「被爆を確認できる資料がない」などとして却下。3人は16年、市などを相手取り、手帳交付申請の却下取り消しを求めて長崎地裁に提訴した。

 3人を支援する「強制動員真相究明ネットワーク」(神戸市)が長崎地方法務局に名簿の存在を確認したところ、7月12日付で「1970年3月末で保存期間が満了し、同年8月末に廃棄されている」と文書で回答。供託金約86万円は59年、時効を理由に国庫に納付されたことも明らかにした。

 同省は「現存資料からは、この供託が朝鮮半島出身者のものか確認できない」とし、通達違反かどうかも判断できないと説明。一般的な公文書ならば「管理規程に基づく廃棄で問題でない」(民事局)とする。

 これに対し、ネットワーク事務局次長の小林久公さん(75)は「3人の名前が名簿に載っている可能性が高いのに廃棄したのは問題だ」と指摘。国は被爆者健康手帳の交付要件を「2人以上の第三者の証明」としているが、広島市は15年、広島法務局が保管していた供託名簿を有力な証拠と判断し、韓国在住の元徴用工の男性に手帳を交付している。

=2017/08/09付 西日本新聞朝刊=

西日本新聞社

最終更新:8/9(水) 9:50
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