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為末大は、メディアである。為末大・スペシャルインタビュー前編

8/9(水) 7:50配信

VICTORY

つい最近まで「本業がない」って悩んでいたんです

400メートルハードルの日本記録保持者として知られる為末大は、現在多くの事業やプロジェクトに携わり多角的にスポーツの普及に尽力している。スポーツ産業の市場規模15兆円を目指す日本にとって、事業家・為末大の描く風景はその未来へとつながる礎となる。(インタビュー=岩本義弘 写真=新井賢一)

――為末さんはいろいろな事業やプロジェクトをされていますが、中心になっているものは?

為末 自分の中での位置づけとして、「為末はメディアである」という感覚で捉えていますね。だから、今はいろいろなことをやっています、義足の『Xiborg(サイボーグ)』とか、合宿をやっている『R.project』とか、弊社の『侍』とか。それぞれのプロジェクトは強く関わっているものもある一方、「社長が別でやっていて、僕はただ関わっているだけ」みたいなケースも結構あるんです。

スポーツに近しい領域のもので、自分がバリューを出せそうなところを支援している感じです。「すごくたくさんやっていますね」って言われますけど、支援する立場のものが多くて。僕が主としてやっているものはあまりないです。でも、いろいろなものが生態系みたいに発展していったらいいなっていうイメージですね。

――その中で深く関わっているところは?

為末 意思決定する領域のような気がします。「この事業を進めていく」というより、ある事業をやることに対して「うちの会社が参画するか」「僕が参加すべきか」を考えるのが、いつもやっているところです。

どちらかと言うと、僕はあまりビジョナリーな人間ではないんですね。「未来がこうなるなら、こんなものが必要とされるんじゃないか」っていうところから考えています。スポーツじゃなきゃ、というわけもないんですが、自分がやってきたことなので。たとえば将来的に空き家が増えてくるなら、そこで合宿をやったらいいなとか。

――「今のスタイルがいい」と確信できたのは、いつ頃からですか?

為末 本当に、つい最近です。実はこの1年、「本業がないじゃないか」とすごく悩んでいたんです。でも、孫(正義)さんが「テクノロジーのウォーレン・バフェット(※1)」になるとおっしゃっているのを聞き、そういうふうに割り切っちゃうといいのかなと思えました。関わっている企業の株式は、少額ですが持っています。将来的に生態系みたいな感じでみんながスポーツで発展していけば、結果として自分も生き残っているんじゃないかと。なので、今はいろいろやる方向性で考えています。

――「職業:為末大」ということですね。

為末 それに近いかもしれません。もうちょっとスケールが大きいと本田(圭祐)さんですかね。彼が今何を考えられているかわからないですけど。僕は比較的テクノロジーが好きなので、スポーツとテクノロジーの領域をくくって、わかる範囲でやっています。でも、こういうビジネスってフローが小さくなるんです。日々入ってくるお金が。出資するということは、基本的に出ていくばかりじゃないですか。今うちの会社は、結局僕が半分くらいの売上を作っています。これではちょっといびつなので、弊社の事業を育てていきながら、僕が稼いでいる比率を20パーセントくらいにしたいと思っています。

――その中で核になっているものは、特にないということですか?

為末 『侍』という会社をやっていて、僕が100パーセントの株式を持っています。ここの事業には大きく関わってやっていますね。子どものかけっこスクールをやっている『TRAC(トラック)』、『新豊洲Brilliaランニングスタジアム』の運営、あとは電通さんとやっている『アスリートブレーンズ』とか。そこが主体ということになると思います。

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最終更新:8/9(水) 7:50
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