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高齢がん患者どこまで治療するか 手術も抗がん剤もしない選択

8/9(水) 7:01配信

BuzzFeed Japan

日本人の死因トップのがん。高齢化が進むにつれ、がん患者も高齢化しているが、今、議論が始まっているのが、「高齢の場合どこまで治療をするか」だ。

歳を重ねれば、臓器の機能も衰え、糖尿病や心臓病など、がん治療が体に大きな負担となる持病を抱えることが増える。副作用が生活に与える影響や個人の死生観を考えて、積極的な治療を控える選択も生まれる。

8月9日に公表された国立がん研究センターの全国集計でも、75歳以上ではがんの部位や進行度によって、治療の負担を減らす傾向が見られた。高齢になったら、がん治療はどう選べばいいのだろう。【岩永直子 / BuzzFeed Japan】

増える高齢患者、避ける治療の負担

公表されたのは、専門的ながん治療を行える施設として国に指定された「がん診療連携拠点病院」等が治療した患者の登録情報を全国集計したデータ。2009年から集計しているが、2015年にがんと診断された例の集計(427施設、約70万件分)が新たに加わり、国立がん研究センターがん対策情報センターは、今回初めて、増加する高齢がん患者について12部位のがんに対する治療のデータ(2012~15年)を分析した。

登録患者の施設別の平均年齢は2009年に67.2歳だったのが、2015年には68.5歳に増加。施設別にみた75歳以上の患者の割合の中央値(全ての数値を並べて真ん中に来る数値)は09年には33%だったのが、15年には36.5%に増えた。

さらに、各部位の病期ごとに年齢別に選択した治療法を見てみると、75歳以上では、それより若い年代と比べ、部位や病期によっては、がんの根治を目指す治療を行わなかったり、手術のみ行って体の負担が重い抗がん剤治療などを行わなかったりする傾向が見られた。

例えば、大腸がんの場合、進行度が最も低い1期でも、他の年代と比べ、85歳以上では手術や抗がん剤治療を避ける「治療なし」が最も多く、2015年には40~64歳の「治療なし」が1.6%だったのに対し、85歳以上では18.1%だった。

それより進行した2~4期でも同様の傾向が見られ、3期では75歳以上で手術のみ行う人が若い年代と比較して、かなり多かった。

分析した同センター院内がん登録室研究員の奥山絢子さんは、「高齢者の治療では体の負担が少なく、日常生活が改善される見込みがある治療を希望する傾向にあります。例えば、大腸がんで腸閉塞がある場合は、食事が取れるように手術をすることがありますが、食事が可能な患者さんは本人や家族の希望で手術をしない選択をすることもあります」と話す。

こうした傾向について、同センターのがん対策情報センター長の若尾文彦さんは、「現在、高齢者のがん治療について指針があるわけではなく、医師が個々の状況に応じて判断していると思うが質はバラバラだろう。高齢患者が今後ますます増えることが予想される中ガイドラインを作っていくことが必要だ」と話す。

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最終更新:8/9(水) 7:01
BuzzFeed Japan