ここから本文です

IoTが省エネ変える、製造業 “乾いた雑巾” さらに絞る

8/9(水) 16:00配信

日刊工業新聞電子版

■三菱電機・名古屋製作所、因果関係つかむ

 IoTが製造業の省エネルギーを変え始めた。三菱電機は新棟をIoT武装し、電子部品の実装ラインのエネルギー使用効率を30%改善した。富士電機は既存工場をIoT化し、省エネと生産性向上を追求する。“乾いた雑巾”を絞ると表現される日本の製造業だが、IoTが省エネの常識を変え、隠れたエネルギー無駄を絞り出す。

 三菱電機の名古屋製作所(名古屋市東区)は、都市部にありながらナゴヤドーム6個分の30万平方メートルの広大な敷地を持つ。立ち並ぶ長細い工場建屋の中で、ひときわ目立つ6階建てのビルがFA機器新生産棟だ。

 2013年完成の新生産棟には電子部品をプリント基板に装着する実装ラインが並ぶ。主力製品「シーケンサ」(一般名はPLC)の生産設備だ。シーケンサは小型コンピューターで、搭載した設備に稼働を指示したり、生産情報を集めたりする機能を持つ。三菱電は実装機にシーケンサを取り付けてネットワーク化し、IoT化した。

 田中準二営業部次長は「現場で起きたことの因果関係が分かるようになった」と成果を語る。計画よりも実際に生産した基板が少ないと、シーケンサ経由で集めた情報を解析する。遅れの原因として考えられるのが実装不良だ。

 実装機には部品を基板の所定の位置まで運ぶノズルが何本もある。シーケンサの情報をもとに、どのノズルのミスが多いのかを特定する。その情報を設計部門と共有し、部品の取り付け位置の変更でミス削減を検討する。

■リフロー待機、エネ無駄判明

 名古屋製作所生産システム推進部の鷲津人司・環境推進課長は「現場には生産性向上が省エネ化だと言っている。IoTは生産性向上と省エネを同時に実現する」と話す。

 ライン全体の6割のエネルギーを消費するのが、加熱してハンダを溶かして部品を基板に接着するリフロー炉。シーケンサが捉えた稼働とエネルギーの情報をつき合わせると、生産機種の変更作業中にエネルギーの無駄が多いことがはっきりした。変更中、実装機が停止していてもリフロー炉は高温で待機しているためだ。

 対策としてシーケンサと連携した生産管理システムが、何分後に機種変更が発生するのかを場内に知らせることにした。作業者は次の機種の部品を事前に手配し、変更作業を短縮。リフロー炉の待機時間が減り、シーケンサ生産のエネルギー使用量を30%削減した。

 データの検証からリフロー炉の排熱を逃がす排気設備の無駄も見えてきた。排気ファンをシーケンサで運転を弱めたり、強めたりできるように改造。常に最大で運転していた時よりも電力使用を絞り、空調にかかる負荷も抑えた。IoTで、作り慣れたはずのシーケンサにも改善の余地を見つけ出した。

1/2ページ