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無灯火自転車はなぜ危険なのか クルマ免許の有無で変わる認識

8/9(水) 17:10配信

乗りものニュース

ライトを点けるのは自分のためだけではない

 2016年に警察が自転車の取り締まりで「指導警告票」(いわゆるイエローカード)を交付した件数は、およそ158万件です。そのうち「無灯火」の件数は、ふたり乗りや信号無視などよりもはるかに多い約49万件に及んでいます。

【グラフ】自転車取り締まりにおける「指導警告票」交付件数

 自転車における夜間のライト点灯については、道路交通法第52条で「車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。――中略――)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」とされています。自転車の普及促進やマナー啓発についての活動などを行う日本自転車普及協会(東京都品川区)に話を聞きました。

――無灯火の違反件数が多いのはなぜでしょうか?

 取り締まりの主たる要素となっているのでしょう。というのも、無灯火は運転者本人にとって危ないということもありますが、周りが存在を認識しにくいため、クルマや歩行者などほかの交通にとっても危険だからです。

――ライトをつけない人の理由はどういったところでしょうか?

 ひと昔前であれば、発電機のローラーをタイヤの側面に押し合てて点灯させるタイプのライトは、ペダルをこぐのが重くなるからといった理由をよく聞きましたし、また学生さんからは、「ライトをつけるのがなんとなくカッコ悪い」という声もありました。乗っている人からすれば「夜道でも見える」という意識があるのでしょう。これは現在も変わらないと思います。

――最近は改善されているのでしょうか?

 自動で点灯するライトや、ハンドルなどに取り付けるLEDライトも増えてきたので、技術面では改善されてきている印象です。このほか近年、自転車の事故や「自転車保険」がマスコミなどで取りざたされることにより、乗る側の意識も向上してきていると感じます。

技術やマナーが向上しても、埋まらない「溝」

 自転車メーカー大手のブリヂストンサイクル(埼玉県上尾市)によると、「点灯忘れ防止のため、暗くなったら自動でライトが点灯する装置を1990(平成2)年から実用化しているほか、発電時にペダルへの負荷が比較的軽い(前輪の車軸周りに発電機を内蔵した)ハブダイナモ式のライトを採用している車種が多いです。当社製品のほとんどは、そのいずれかが備わっています」と話します。

 技術面で進歩した一方、日本自転車普及協会は、「運転免許を取って初めて、無灯火の危険性を認識する人が多いと思います」と話します。この認識の差はどこにあるのでしょうか。フジドライビングスクール(東京都世田谷区)の田中さんは、「自転車に乗る人から、『自転車は常に守られている』という考えもたまに聞かれます。クルマがすべての交通を見て運転しているのだから、大きな事故は起きないだろう、というものです」といいます。

「自転車は、特に横、斜め、後ろなどクルマの死角になるところで見えにくく、だからこそ事故を防止するためにクルマは左折時に左側へ幅寄せをします。教習生からは『(自転車の)乗り方が変わりますね』と言われることもしばしばです」(フジドライビングスクール 田中さん)

 先述した警察庁の資料における「指導警告票」の交付件数は、全体として年々減ってきてはいます。たとえばふたり乗りなどは、2007(平成19)年の段階では約56万件でしたが、2016年には約12万件まで減っています。無灯火での交付件数もまた、2007(平成19)年段階では約69万件で、10年間で20万件近く減ってはいますが、全体のなかでの割合が多い状況は変わらないようです。

 違反の件数が減っている背景には、技術の向上や、自転車のマナー意識の高まりもあるでしょう。しかしながら、自転車に乗る人と、クルマに乗る人とのあいだにある意識の「溝」はなかなか縮まらないのかもしれません。

乗りものニュース編集部