ここから本文です

「幾らでも供給」で欧州救ったトリシェ前ECB総裁-あれから10年

8/9(水) 16:13配信

Bloomberg

2007年8月9日、欧州中央銀行(ECB)はユーロ圏の銀行に緊急資金950億ユーロ(現在のレートで約12兆3000億円)を貸し付けた。危機の火消し役をECBが引き受けた瞬間だった。

米国のサブプライム危機が欧州に波及し、フランスの銀行BNPパリバが3本の投資ファンドからの資金の引き出しを停止した。仏北西部のサンマロでの休暇中だったトリシェECB総裁(当時)はファクスと電話で他の当局者らとやり取りし、ECBの危機対応を打ち出した。中銀はマネーマーケットの緊張を注視しているとの声明を出し、金融機関に対し翌日物資金を無制限に供給すると表明した。

その後10年の危機との闘いでECBのバランスシートは数兆ユーロ膨らんだ。ECBが米連邦準備制度、イングランド銀行(英中銀)など世界の中銀と共に先頭に立った前例のない闘いは、金融政策ができること、なすべきことについて徹底的な再考を迫った。

不完全な通貨同盟というハンディを負っていることで、ECBの仕事は困難を伴うものとなった。しかし何年も続いた金融刺激策と悪戦苦闘の末の経済改革を経て、ECBが政策正常化の検討を開始する時がやってきた。一つの節目としてドラギ現総裁は今秋、債券購入プログラムの段階的終了について概要を示すかもしれない。

オックスフォード・エコノミクスのエコノミスト、ジェームズ・ニクソン氏は「ECBは文字通り何もかも投入した。非伝統的金融政策に非常に深く入り込んでおり、そこから戻るには10年かかるだろう」と話す。

10年前の8月9日の資金供給量は01年9月11日の米同時多発テロ翌日の供給額693億ユーロを上回っていた。ECBは07年8月14日までにさらに3回、無制限の資金供給を実施した。

秋のECB政策委員会に先立ち、ドラギ総裁は8月24ー26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで開かれるカンザスシティー連銀主催シンポジウムで政策の将来についてのヒントを示すかもしれない。

原題:Ten Years of Firefighting Leaves ECB Poised to Unwind Stimulus(抜粋)

Carolynn Look

最終更新:8/9(水) 16:13
Bloomberg