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米利用し「ロシア帝国」復活狙うプーチン露大統領 支持率絶大のウラに「露版の水戸黄門」

8/10(木) 16:56配信

夕刊フジ

 【世界政治のキーマン】

 「現代の世界で、最も影響力のある政治家は誰か」と問われれば、多くの識者が、ロシアのウラジミール・プーチン大統領の名前を挙げるだろう。ロシアでは来年3月に大統領選が実施されるが、プーチン氏の国内支持率は依然8割以上で、再選は確実である。

 「プーチン・ホットライン」をご存じだろうか。プーチン氏が生出演して国民各層の疑問や苦情に応える、毎年恒例の超人気のテレビ番組だ。今年は6月15日に放映された。いわば「ロシア版の水戸黄門」である。

 例えば、地方都市の老婦人が、公営の老朽アパートの惨状を電話で訴えた。プーチン氏は住宅政策について話した後、「そちらにいく予定があるので状況を見たい」と約束する。2週間後、プーチン氏は老婦人のアパートを訪問した。その場で地方自治体の首長に命じて、安全なアパートへの転居を確約した。

 もちろん、入念な演出の下に行われていることは確かだ。プーチン氏の人気は高いが、地方の首長の汚職は後を絶たない。そこで、パフォーマンスが必要になるのだ。

 プーチン氏は軍事力行使を躊躇(ちゅうちょ)しない、KGB出身のこわもての政治家である。だが、その人気を支えているのは、あくまでも経済の再建である。

 2000年、プーチン氏はエリツィン大統領の大統領代行から大統領選に出馬し、勝利した。エリツィン時代の末期、ロシア経済は最低の状況だった。「偉大なるロシアの復活」を掲げるプーチン氏は08年までの1、2期で、GDP(国内総生産)を6倍に急成長させた。これが高い支持率の基礎となっている。

 プーチン氏といえば、クリミア併合などの軍事力行使を想像しがちだが、国際放送スプートニクや、国際通信社ロシア・トゥディを通じた情報発信力も見逃せない。西側メディアが報道しない事実を伝え、情報通の間では、既成メディアの欠陥を補正する情報源として重視されている。

 ロシアのGDPは意外と小さい。16年のランキングは世界12位で、韓国の下だ。ただ、軍事的には、米国に対抗する世界第2位である。プーチン氏は米国を牽制(けんせい)しつつも、冷戦時代のように米国を敵とは見ず、その力を利用しながら、ロシア帝国を再建する戦略のようだ。

 プーチン氏は、経済力の限界も踏まえながら、大陸国家として周辺のベラルーシ、カザフスタン、東ウクライナなどを自国の勢力圏にしていく方針といえる。北方領土の返還は容易ではない。(国際政治学者・藤井厳喜)

最終更新:8/14(月) 20:03
夕刊フジ