ここから本文です

「Windows as a Service」を制御する――機能更新と品質更新のリリースサイクル

8/10(木) 8:25配信

@IT

●Windows 10の「機能更新プログラム」と「品質更新プログラム」

 Windows 10のWindows Updateで配布される更新プログラムは、大きく「機能更新プログラム(Feature Updates)」と「品質更新プログラム(Quality Updates)」の2つに分けることができます。

Windows Update for Businessのポリシー設定

□□
・機能更新プログラム:新機能を含むWindows 10の新しいバージョン(新しいビルド)へのアップグレード。半年ごと(3月ごろと9月ごろ)にリリース
・品質更新プログラム:セキュリティ更新、非セキュリティ更新(バグ修正や改善)、Adobe Flash Playerのセキュリティ更新など。毎月1回以上リリース
□□

 機能更新プログラムは、Windows 10 バージョン1511以前は「機能アップグレード」と呼ばれていたもので、Windows 10の“新しいバージョン(新しいビルド)へのアップグレードインストール”です。Windowsの新しいバージョンがWindows Updateを通じて配布されるのは、Windows 10からの大きな変更点です。

 一方、品質更新プログラムは従来のWindowsと同様、セキュリティ更新やその他の更新プログラムです。以前のWindowsとの違いは、過去にリリースされた更新を含む“累積更新プログラム”として毎月1回または複数回提供されるようになった点です。2016年10月以降は、Windows 7やWindows 8.1も累積更新プログラムの提供形態に移行しました。

 この他、Windows Defenderの定義更新、ドライバー更新プログラム、他の更新プログラム(悪意のあるソフトウェア削除ツールなど)、Microsoft製品(MSI版のOfficeアプリケーションなど)の更新プログラムがWindows Updateを通じて配布されます。

●2017年7月からのWaaSの変更点

 Windows 10のWindows Update関連の機能と「サービスとしてのWindows(Windows as a Service:WaaS)」のサポートポリシーは、Windows 10の新しいバージョン(新しいビルド)がリリースされるごとに変更されてきました。最新のサポートポリシーについては、ドキュメントで確認してください。

 2017年7月27日(米国時間)には、Windows 10 Creators Updateの「Current Branch for Business(CBB)」向けの提供が開始されました。このリリースから、CBBは「Semi-Annual Channel」という名称と概念に変更されています(表1)。

――――
○表1 WaaSのチャネル(旧称ブランチ)の名称変更
・2017年7月以前/2017年7月以降/リリースサイクル/更新サポート/備考
Current Branch(CB)/Semi-Annual Channel(Targeted)/半年ごと(3月ごろと9月ごろ)/Targeted向けリリース後18カ月/2017年4月の発表時点ではSemi-Annual Channel(Pilot)という名称でした。Semi-Annual Channel(Targeted)は、Office 365 ProPlusの従来のFirst Release for Deferred ChannelであるSemi-Annual Channel(Targeted)とそろえられます
Current Branch for Business(CBB)/Semi-Annual Channel/Targeted向けリリースの4カ月後/Targeted向けリリース後18カ月/2017年4月の発表時点ではSemi-Annual Channel(Broad)という名称でした。Semi-Annual Channelは、Office 365 ProPlusの従来のDeferred ChannelであるSemi-Annual Channelとそろえられます
Long Term Servicing Branch(LTSB)/Log Term Servicing Channel(LTSC)/2~3年ごと/10年/次のLTSCリリースから
――――

 新しい概念では、これまでの「Current Branch(CB)」は「Semi-Annual Channel(Targeted)」、CBBは「Semi-Annual Channel」と呼ばれるようになり、Office 365 ProPlusのリリースとも足並みがそろえられます。また、「Long Term Servicing Branch(LTSB)」は、次のリリースから「Long Term Servicing Channel(LTSC)」に変更になる予定です。

 Windows 10 バージョン1511のサポートについては、Windows 10 Creators UpdateのSemi-Annual Channel(旧称、CBB)向けの提供を開始したのに合わせ、2017年10月10日に更新サポートが終了することが発表されています。そのため、以降ではWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607)とWindows 10 Creators Update(バージョン1703)の機能とサポートポリシーに基づいて説明します。

●機能更新プログラムのリリースサイクルとサポート期間

 Microsoftは当初、Windows 10の機能更新プログラムを年に2~3リリース提供するとしていました。また、提供時期は特に定めていませんでした。その後、Windows 10 バージョン1703のリリースの際、Office 365 ProPlusのリリースとそろえる形で3月ごろと9月ごろの年に2回のリリースに固定化することを発表しました。Office 365 ProPlusと完全にそろうのは、2017年9月からの予定です。2017年9月からは、Windows Serverも同じリリースサイクルに加えられます(ソフトウェアアシュアランスで提供されるSemi-Annual Channelとして)。

 Windows 10の新しい機能更新プログラムは、まず「Current Branch(CB)」に対してリリースされ、そのおおむね4カ月後に「Current Branch for Business(CBB)」向けにリリースされます。

 CBはWindows 10の既定であり、Windows 10 Homeエディションの唯一のオプションです。Windows 10 Pro、Enterprise、Education、Pro Educationは、CBBに切り替えることが可能です。Windows 10 Pro、Enterprise、Education、Pro EducationをCBBで運用すると、CB向けリリース後のおおむね4カ月後に新バージョンの機能更新プログラムが提供されることになります。

 また、CB、CBBともに、「Windows Update for Business」のグループポリシーを使用して、さらに詳細な延期を構成することができます。Windows Update for Businessについては後述しますが、以前はWindows Update for Businessで制御できるのはCBBのみでしたが、Windows 10 バージョン1607以降、CBとCBBの両方を制御できるようになりました。

 機能更新プログラムの各リリースは、CB向けリリース後、原則として18カ月間サポートされ、機能更新プログラムが提供されます。バージョン1507と呼ばれるWindows 10初期リリースは結果として21カ月(2015年7月末~2017年5月9日まで)サポートが提供されました。Windows 10 バージョン1511のサポートも、2017年10月10日まで約22カ月提供されることになります。

 前出の表1で示したように、2017年7月から、つまりWindows 10 Creators UpdateのCBBからSemi-Annual Channelという名称に変更されます。そして、2017年9月頃にリリース予定のWindows 10 Fall Creators Updateが、Semi-Annual Channel(Targeted)という名称で提供される初めてのリリースになります。

 Windows 10のこれまでのリリース情報は、以下のサイトで確認することができます。

 Windows 10 Creators UpdateのSemi-Annual Channelへの変更はリリース情報に既に反映されています。なお、公開日の列はCB、CBB、Semi-Annual Channel(Targeted)(未リリース)、Semi-Annual Channel向けのリリースの更新ビルド(機能更新プログラム)が利用可能になった日付(通常、第二火曜日)になっています。

 CBBやSemi-Annual Channel向けの実際のリリースは、その更新ビルドが反映されたISOメディアが提供された日になります。Windows 10 Creators Updateは、15063.489(2017年7月11日リリース)が適用済みのISOイメージが2017年7月27日付で公開されています。また、このリリース情報のサービスオプションの列には、サポートの終了が正しく反映されていないことに注意してください。例えば、Windows 10 バージョン1507向けの更新は、正しくは「2017年5月9日」に終了しています。

 Windows 10のUI(ユーザーインタフェース)やポリシー設定、管理ツールには、現状、Semi-Annual Channelの名称変更は行われておらず、CB/CBBのままであるため、ユーザーだけでなく、Microsoft側も含め、しばらくは混乱するとになると思います。以降では混乱を避けるため、UIや設定と一致しているCB/CBBを名称として使用します。

●機能更新プログラム(新バージョン)の配布制御

 企業内で「Windows Server Update Services(WSUS)」やその他の更新管理システムを使用していない場合、CB向けに機能更新プログラムがリリースされると、すぐにWindows Updateで検出され、アップグレードインストールが行われます。ただし、使用中のコンピュータの環境によっては、ハードウェアの互換性が解決されるまでしばらく配布されない場合もあります。

 Windows 10を業務利用している場合は、機能更新プログラムの影響を検証してから適用するべきです。WSUSを利用していない場合の手段として、CBBへの切り替えや、Windows Update for Businessによる延期が可能です。

 具体的には、「グループポリシー」の以下のポリシーを有効化し、パラメーターを構成します。

□□
○Windows 10 バージョン1607

コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Updateの延期\機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください

・受信する機能更新プログラムのブランチ準備レベルを選択してください:Current BranchまたはCurrent Branch for Business
・機能更新プログラムがリリースされた後、受信を延期する日数:0~180日
・機能更新プログラムの一時停止:一時停止する場合はチェック、60日後自動的に解除
□□
□□
○Windows 10 バージョン1703

コンピューターの構成\管理用テンプレート\Windows コンポーネント\Windows Update\Windows Updateの延期\機能更新プログラムをいつ受信するかを選択してください

・受信する機能更新プログラムのブランチ準備レベルを選択してください:Current BranchまたはCurrent Branch for Business
・機能更新プログラムがリリースされた後、受信を延期する日数:0~365日
・機能更新プログラムの一時停止を開始しています:一時停止の開始日(例:2017-08-01)、35日後自動的に解除
□□

 例えば、一部のコンピュータグループをCBとして設定して先行的に新バージョンをパイロット展開して評価し、その結果に基づいてCBBとして設定したコンピュータグループを用いて全社展開を行うということができます。あるいは、異なる延期日数を設定したCBBの2つのグループで、パイロット展開と全社展開を制御することもできます。

 Windows 10(Windows 10 Homeを除く)のクライアント側では「設定」アプリの「更新とセキュリティ」→「Windows Update」→「詳細オプション」で、CBBの切り替えや詳細な構成が可能です。Windows 10 バージョン1607の場合は、「詳細オプション」の「機能の更新を延期する」をチェックすることで、CBBへの切り替えだけが可能です。Windows 10 バージョン1703では、「詳細オプション」を使用して、Windows Update for Businessと同様のブランチの選択、延期する日数、一時停止を制御できます。

 グループポリシーでWindows Update for Business(CBBはその中の設定の1つ)を制御する場合の注意点として、Windows 10のバージョンによって「ポリシーテンプレート(WindowsUpdate.admx)」が異なる点があります。

 例えば、Windows Update for Businessの一時停止用のポリシー設定は、全く異なるレジストリ設定を配布します。バージョンごとに異なるポリシーを編集するために、ポリシーの対象となるWindows 10のバージョンと一致するWindows 10コンピュータで、「リモートサーバー管理ツール(Remote Server Administration Tools:RSAT)」を使ってグループポリシーを編集する必要があります。

 また、コンピュータグループやWMI(Windows Management Instrumentation)フィルター(例:select * from Win32_OperatingSystem where Caption like "Microsoft Windows 10%" and Version = "10.0.14393")を用いてWindows 10のバージョンごとにポリシーの配布ターゲットを用意することも必要です。Windows Update関連に限らず、企業内に複数バージョンのWindows 10を運用する場合は、ポリシーの変更を念頭に管理する必要があるのです。

 Windows Serverの「Windows Server Update Services(WSUS)」や、WSUSを更新ポイントとして利用する「System Center Configuration Manager(SCCM)」を利用する場合は、難しいことはありません。WSUSでは、ブランチの切り替えや延期日数を構成する必要はなく、更新プログラムを管理者による承認に基づいて、配布ターゲットを指定して配布できます。Windows Server 2012以降のWSUSは、Windows 10の機能更新プログラムおよび品質更新プログラムの配布に対応しています。

●筆者紹介

○山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門-完全版』(日経BP社)。

最終更新:8/10(木) 8:25
@IT