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汗かかず夜中トイレは要注意 「夜間熱中症」はこう防ぐ

8/10(木) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

「日中は強い日差しを避けてクーラーの効いた部屋で過ごす。だから熱中症は心配ない」――。そう思っている人は考えを改めた方がいい。年間5万人以上が救急搬送される熱中症は、3割超は屋内で発症する。しかも、亡くなる人の多くは夜、寝ている間に発症するという。気温が下がるはずの深夜から明け方にかけて起きる夜間熱中症。防ぐにはどうしたらいいのか? サラリーマンの病気に詳しい弘邦医院(東京・葛西)の林雅之院長に聞いた。

「夜間熱中症になりやすい人は、汗をかかない高齢者や逆に汗を出し過ぎる乳幼児、普段からエネルギー消費が大きい肥満の人、下痢や嘔吐をして水分が抜けている人です」

 いずれも体温調節が得意でない人たちだが、普段から汗をあまりかかず、夜中におしっこに行く人も夜間熱中症のリスクが高くなるという。

「汗は、蒸発するときに体の表面の熱を奪い、体温を下げる働きがあります。汗の量が少なく夜中におしっこに行く人は、体内の余分な水分(汗)を使って体温を十分下げることができない人です。その分、熱中症になってしまう可能性があるのです」

 また、汗を出すための皮膚の温度センサーは足の裏から鈍くなっていく。糖尿病などで足の裏の感覚が鈍くなっている人も注意が必要だ。

「汗を出す、出さないは脳が指示しますが、それを伝えるのは皮膚の温度センサーです。高齢者や糖尿病の人などは暑さを感じにくく、汗をかいて体内の熱を排出しようとする発汗反応が働きません。暑く感じないから当然、エアコンのスイッチも入れない。ますます体の中に熱がこもって、熱中症になってしまうのです」

 そもそも熱中症とは、体温が急上昇して脱水症状となり、熱けいれんや熱失神、熱疲労、熱射病の症状が表れ、最悪、死を招く健康障害の総称をいう。一般的には日光が照りつける屋外にいる人の方が熱中症にかかりやすいイメージがあるが、そうではない。2015年に東京消防庁が発表した熱中症の救急搬送人員の資料によれば、熱中症の30%以上は「住居等居住場所」で発症している。65歳以上の高齢者に限ると56%にも上るという。また、10年の東京都監察医務院調べによると、熱中症で亡くなった人の死亡時間帯は、不明な人を除くと40%が17時~翌5時の夜間に集中している。

■寝ている間はクーラーを切らない

 では、どんな部屋で寝ている人が危ないのか?

「外断熱でないマンションなど鉄筋コンクリート製の部屋に住んでいる人です。鉄筋コンクリートは日中の強烈な日差しの熱をため込む性質があり、夜間になってもその熱を室内に伝えるからです」

 とくに屋根の温度が天井から伝わる最上階は室内の温度が上がりやすい。2階建てなら、夕方まで西日が当たる2階の西側の部屋が危険なエリアになる。

「よく、西日が当たる部屋は暑い、といわれますが、それは西日に熱量があるわけではありません。一日中、日にさらされ気温がぐんぐん上がり、その気温が下がらないうちに西からの太陽光線を浴びて暑く感じるのです」

 また、熱中症での緊急搬送が多くなるのは、「気温35度・湿度46%」から「気温25度・湿度84%」の範囲。気温が下がってきても湿度が高い場合には、夜間熱中症に気をつける必要がある。

「寝るときは体に風が直接当たらないようにして、クーラーは切らないこと。タイマーを使ってクーラーが途中で切れると、外壁にこもった熱気が寝ている間に侵入してくるのを防ぐことができません。寝る前に水分を補給しておくことも大切です。ただし、アルコールやコーヒーは利尿作用があるため水分補給にはなりません。スポーツドリンクもいいのですが、糖分が入っているので飲み過ぎには気をつけましょう。汗が蒸発しやすいようタオルケットはお腹だけにかけるのが良いでしょう」