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四川省地震 世界遺産の街「未体験の揺れ」

8/10(木) 7:55配信

産経新聞

 「体験したことがない揺れだった」-。8日夜、中国四川省アバ・チベット族チャン族自治州を襲った地震で、深夜の観光地はパニックに陥った。山間部での災害ということもあり、道路は落石や倒木で寸断され、被害の全容把握もままならない状況が続く。一夜を経ても、「世界遺産の街」は不安に包まれた。

 ■池の水が枯れた

 九寨溝は、標高約2千メートル超の地点に広がる原生林に、大小100以上の沼や滝が連なる中国屈指の観光地だ。1992年に世界遺産(自然遺産)に登録された。

 「複数の家が倒壊した。信じられない」。震源地近くのホテルで働く従業員は、中国メディアの取材にこう証言した。住民女性は「強い揺れを感じ、子供2人と家を飛び出した」と振り返った。海外からも観光客が訪れており、フランス人の男性とカナダ人の女性が脚や頭を負傷するなどして手当てを受けたとの報道もある。

 また、インターネット上には地震発生直後の様子として、建物の外に逃げた旅行客らが不安げな表情を浮かべる様子がアップされた。地震の影響からか九寨溝の一部の池で水が枯れている様子も投稿されている。「かき入れ時の地震で、観光への打撃ははかりしれない」(現地住民)

 ■倒木で道路寸断

 現場ではボランティアら400人以上も集まり、救援活動が続いたが、山間部という地形が救助の困難さを招いている。現地へ向かう道路は倒木などで寸断され、救急隊や援助物資を積んだ車両ですさまじい渋滞となった。

 自治州内に実家があるという男性は産経新聞に対し「四川大地震のときも、山深い地形から支援の手が入るのに時間がかかった。救援物資や救助隊がたどり着かない場所があるかもしれない」と不安げに話した。

 中国国営中央テレビなどは、救助隊員に抱きかかえられて避難する子供の姿も伝えた。救助隊員は、建物が倒壊したとみられる現場で、生き埋めになった生存者がいないか捜し、手作業でがれきを除去するなど懸命に捜索を続けた。(成都 西見由章)

最終更新:8/10(木) 7:55
産経新聞