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甲子園は高校時代の夢舞台 カープ女子うえむらちかさん

8/10(木) 19:41配信

朝日新聞デジタル

■甲子園観戦記

 わあ、夏の甲子園のグッズ、充実してますね。全出場校の名前が入ったタオルだけでなく、フード付きのタオルに、ボールの形をしたクッションまである。「3色ボールペンが、3色とも赤」とか、アイデアがすごい広島東洋カープのファンなので、野球を見るときはグッズにもつい目を光らせてしまいます!

【写真】うえむらちかさん=細川卓撮影

 広島県立海田(かいた)高校に通っていたときは、吹奏楽部でトランペットを吹いてました。花咲徳栄は、ブラスバンドも強豪ですね。音がそろってる。「サスケ」という曲が流れると、得点が入るらしいですよ。相手チームから「魔曲」と言われているんですって。

 開星は、序盤で4失点。中村投手、緊張しているのかな。プロ野球なら投手の分業制が成り立っているから、代えられる。けど、高校野球となると、1人の投手の責任が重くなってしまいますね。

 私は昨年、初めて舞台の仕事をさせてもらいました。「雲は湧き、光あふれて」という高校野球を題材にした朗読劇なんですけど、1人でモノローグ(独白)をしたときは最初、足が震えてました。新人記者の役で、「記事を書いても書いても没にされ、取材しているうちに球児に励まされる」という内容。でも舞台が進むにつれて、「失敗しても、カバーし合える」と思えたんです。分かち合える仲間がいるのは、心強いです。

 お、四~六回は開星も無得点に抑えた。ただ、花咲徳栄の守備も素晴らしい。野球観戦ではホームランより、ファインプレーの方が好きです。「打線は水物」とよく言いますよね。逆に守りは、練習の成果がそのまま表れる。花咲徳栄のショート岩瀬選手、打球の行方をしっかり追って動いているなあ。

 「サスケ」が流れる中、花咲徳栄が七回に追加点を挙げて9―0。大丈夫……あまり思い出したくはないけど、カープも今年は、この球場で阪神に9点差をひっくり返された! 最後まで諦めないで!

 自分が高3で、野球部の応援に行ったときを思い出します。負けた試合は、終盤になるにつれて「この曲の演奏も、これが最後なのか」という思いが、胸をよぎる。あまり強くない高校だったので、どうしても負けているチームに肩入れしちゃいます。

 私が高校時代に届かなかった甲子園の夢を、両校を通じて見させていただきました。カープの堂林君(中京大中京)も、野村君(広陵)も夢の詰まった舞台で勝ち上がったんだ。2人とも「あの経験があったから、今の自分がある。頑張れる」と言っている。うん、分かる気がする。(構成・井上翔太)


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 うえむら・ちか 1985年、広島県海田町出身。07年に上京し、神宮球場で広島戦を見て「カープ女子」に。以降、年間数十試合は観戦する。著書に小説「灯籠(とうろう)」など。近著に「うえむらちかのカープごはん。」。

朝日新聞社