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51年ぶり復活 東武のSL「大樹」運転開始 懐かしい「夜行列車の香り」も特徴

8/10(木) 18:25配信

乗りものニュース

新たなSL列車「大樹」、そのポイントは?

乗りものニュース

 東武鉄道のSL列車「大樹(たいじゅ)」が2017年8月10日(木)、営業運転をスタート。始発の下今市駅(栃木県日光市)で出発式典が行われました。東武鉄道でのSL列車運行は51年ぶり。式典に出席した石井啓一国土交通大臣は「『大樹』の復活運転は我が国が世界に誇る鉄道産業の文化遺産ともいえるプロジェクト」と話します。

【写真】国鉄の雰囲気 1970年代製造の「大樹」客車内部

 SL「大樹」の特徴としてまず挙げられるのは「手軽に乗れる」こと。運転区間は栃木県日光市内の東武鬼怒川線・下今市~鬼怒川温泉間12.4kmで、所要時間は約35分。他路線のSL列車と比べて短いほか、運賃とSL座席指定料金あわせて1000円(大人1名)で乗車でき、日光・鬼怒川地区の周遊観光へ組み込みやすくなっています。

 次に挙げられる特徴は「全国の鉄道会社より協力を得て誕生」したこと。「鉄道産業文化遺産の保存と活用」「日光・鬼怒川エリアの活性化」「東北復興支援の一助」という「大樹」運行の目的に賛同した鉄道各社から車両や設備の提供、乗務員の養成で協力を得ました。日光・鬼怒川エリアは福島県に接しており、会津若松方面へ直通列車も走っています。

 東武鉄道の根津嘉澄社長は式典で、51年という長い期間を経ての運転再開のため、同社では失われていたSLの整備、運行のノウハウを、全国の鉄道会社から協力を得て“復活”できたことについて、感謝の言葉を述べました。

「大樹」のSL(C11形207号機)はJR北海道、客車(14系、12系)はJR四国から貸与・譲渡されているほか、乗務員の養成もSLを運行している秩父鉄道や大井川鐵道、真岡鐵道などから協力を得ています。

「大樹」車内は「国鉄」の香り 極力、登場当時の姿に

「国鉄時代」も「大樹」の特徴です。客車の14系、12系は国鉄時代に夜行急行列車などで走っていた車両で、車内放送のチャイムも往時のものを使用。「鉄道産業文化遺産の保存と活用」という目的から極力、車両新製時の状態にされているため、国鉄時代の雰囲気にふれられるほか、当時を知る世代にはとても懐かしいことでしょう。体を起こすと戻る簡易リクライニングシートも健在です。

 SL「大樹」の運行は2017年度、土休日を中心に下今市~鬼怒川温泉間1日3往復が基本で、途中停車は東武ワールドスクウェア駅のみ。乗車には、乗車券のほか座席指定席券(大人750円、小児380円)が必要です。

 またSL「大樹」運行開始にともない、下今市駅構内にSLを間近で見学できる「転車台広場」や、SLの仕組みなどを紹介する「SL展示館」も開設されています(見学には乗車券、または下今市駅の入場券が必要)。

 ちなみに、SL列車へ「大樹」という名称を与えた理由について東武鉄道は、「世界遺産『日光の社寺』である日光東照宮から連想する『将軍』の別称・尊称であり、世界一の高さを誇るタワー『東京スカイツリー』を想起させることから、力強く大きく育ってほしいとの思いを込めました」としています。

恵 知仁(鉄道ライター)