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妖怪や幽霊集う「オバケ芸術祭」 岡山・瀬戸内で人形師と造形師の作品展

8/10(木) 8:20配信

山陽新聞デジタル

 幽霊や妖怪の像をそろえた特別展「せとうちオバケ芸術祭」が、岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓の市立美術館で開かれている。「最後のお化け人形師」と呼ばれる中田市男さん(91)=倉敷市=と妖怪造形師・武本大志さん(31)=茨城県つくば市=の2人による作品の数々が、見る人を異世界へといざなう。9月3日まで。

 中田さんは10代で父・善博さん(故人)を手伝い始めて80年近く、全国のお化け屋敷の人形を手掛けてきた。昔ながらの張り子の技で人形作りを継続。江戸時代以来の伝統を体現した職人芸として再び注目されている。武本さんは兵庫県出身。筑波大で彫刻・彫塑を学び、興福寺の阿修羅(あしゅら)像と同じ伝統技法「脱活乾漆技法」で妖怪像を制作している。2015年には日彫展で日彫賞を受けた。

 会場には、2人の作品25点をはじめ、中田さん所有のお化け屋敷の設計図など計約35点を展示。中田さんは特別展に合わせ、幕末の浮世絵師歌川国芳が描いた「当盛見立人形之内 一ツ家之図」に登場する鬼婆(おにばば)を再現。牛窓に伝わる「肥後茶屋の幽霊・小袖」も制作しており、愁いを帯びた表情には人間の情念さえ感じさせる。武本さんは車輪の妖怪「輪入道(わにゅうどう)阿(あ)・吽(うん)」、河童(かっぱ)や鬼などを出品。質実剛健な像は迫力満点だが、恐ろしいだけでなく、どことなくユーモアが漂う。

 祖父母と訪れた瀬戸内市立小学校の5年女子(11)は「人の顔に重なる部分もあり、リアルで怖い」という。関洋平学芸員は「幽霊や妖怪には、神秘への畏敬や異世界への興味が内包されている。年齢差60歳の2人が共鳴し合う展示を通じ、日本人が育んできた豊かな精神世界に思いをはせてほしい」と話す。

 観覧料は一般500円、中学生以下無料。27日には隣接する牛窓町公民館で小説家・化野燐氏らによる「お化け談義」(要観覧料、定員70人)がある。問い合わせは同美術館(0869―34―3130)。

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