ここから本文です

高齢者に応え食料品店開設 門前・剱地の村東さん

8/10(木) 1:41配信

北國新聞社

 輪島市の西端にあり、65歳以上が人口の7割近くを占める門前町仁岸(にぎし)地区に、食料品店が復活した。同地区の中心部、剱地に唯一あった食料品店は店主の死去で昨年廃業しており、剱地の村東(むらひがし)幸治さん(59)、由美子さん(57)夫婦が買い物に困っている高齢者の声に応え、門前町商工会の支援を受けて自宅近くに開業した。遠方まで買い物に出向いていた住民から重宝されている。

 店名は「ショップつるぎぢ」で、剱地にある由美子さんの実家の納屋を改装して8日にオープンした。売り場面積は12畳程度と大きくはないが、野菜や菓子、調味料、日用雑貨など約1千品目をそろえている。

 仁岸、阿岸地区の653世帯、1211人(8月1日現在)が商圏で、歩いて通えないお年寄りには、少量でも配達する。今後は両地区を巡回する移動販売も行う。

 村東さんが開店するまでは、仁岸、阿岸両地区に食料品店がなく、買い物をするには車で20分程度かかる門前町中心部のスーパーマーケットに行かなければならなかった。宅配サービスも利用できるが、地元では「近所に豆腐1丁、乾電池1個でも手軽に買える店が欲しい」との声がお年寄りから上がっていた。

 幸治さんは一念発起して輪島市内の飲食店を退職し、門前町商工会から創業支援や借入金返済のアドバイスを受けて、開業にこぎ着けた。

 「まあ一服して」。9日午前、暑い中を歩いて来店した田谷(たや)登志子さん(90)=門前町剱地=に、幸治さんはさり気なくいすを差し出した。1人暮らしの田谷さんは「これまでは兄弟に買い物を頼んできたが、やっぱり自分で足を運んで、自分で商品を選べるのは楽しい」と顔をほころばせた。

 過疎化で商圏人口はこれからも減少するため、多くの利益を求めるのは難しい。それでも幸治さんは「客が減っていく分は移動販売でカバーしていきたい。買い物をしなくても、世間話をするため、気軽に立ち寄ってほしい」と地域の交流拠点となることを願う。商工会は買い物弱者解消へ、今後も経営支援に当たる。

北國新聞社

最終更新:8/10(木) 1:41
北國新聞社