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閉店の老舗「田中屋」店舗残す方向で調整/城下町・弘前の「趣のある建物」存続へ

8/10(木) 12:01配信

Web東奥

 創業120年の老舗で、閉店が明らかになった青森県弘前市元寺町の津軽塗製造販売・田中屋(田中久元社長)は9日、同店舗2階の「田中屋画廊」で債権者説明会を開いた。田中社長らは資金繰りに行き詰まって7日付で閉店したことを報告。また城下町のシンボル的な存在となっている店舗を残すため、破産を避ける形で市物産協会と調整していることなどを明らかにした。

 債権者説明会は非公開で開かれ、田中社長、代理人の三上雅通弁護士(弘前市)と、取引先などから35人が出席した。

 終了後、取材に応じた三上弁護士によると、生活様式の変化から売れ行きが悪化し、今年3~6月の売り上げは、昨年同期の半分に満たない500万円以下で、7月には税金や社会保険料などの支払いも不可能となり、閉店を余儀なくされた。負債総額は約8千万円。

 店舗の競売を避けるために破産の形を取らず、市物産協会が地域の名産物を販売するなどの場所として借り受け、約6200万円の債権を持つ青森銀行側に賃料を払う方向で、同協会側と調整しているという。他の債権者に対しては、今月中に「閉店セール」を行い、その売り上げなどから返済に充てる考え。説明会で田中社長は「すべて私の能力不足であり努力不足」と陳謝したという。

 取材に対し、ある男性出席者は「お金が回収できず影響はある」としつつ「景観を維持するように、できるだけ協力していきたい」と話した。

 三上弁護士は「弘前の一市民として、町の雰囲気を壊したくないという一念から無報酬で引き受けた」とし「債権者の皆さんが田中屋と何十年来の付き合いということもあり、おおむねの了承を得ることはできた。銀行側との交渉など、まだまだハードルはあるが頑張りたい」と述べた。

 一方、弘前商工会議所は同日、取引業者ら向けの相談窓口を設置した。

 田中屋は1897(明治30)年の創業以来、津軽塗の製造販売を手掛けてきた。

 白壁と黒塗りの柱が特徴的な店舗は、1976年に旧弘前市役所の古材を再利用して改築し、2008年に市の「趣のある建物」に指定された。

東奥日報社

最終更新:8/10(木) 13:26
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