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「香山正倉」ではなかった? 奈良で30年前出土の建物遺構、資料なく

8/11(金) 7:55配信

産経新聞

 天香久山(あまのかぐやま)西麓の橿原市木之本町の発掘現場で約30年前、「香山(こうざん)」と書かれた墨書土器とともに見つかり、奈良時代の税務署「香山正倉(かぐやまのしょうそう)」跡ではないかとみられていた建物遺構について奈良文化財研究所は出版した「飛鳥・藤原宮発掘調査報告V」で、香山正倉跡と考えるのは難しいとする見解を発表した。

 発掘現場は現在、奈文研都城発掘調査部の庁舎が建つ場所。庁舎建設に伴い、昭和60年~62年に発掘調査が行われ、「香山」と書かれた墨書土器とともに、倉庫とみられる総柱(そうばしら)形式の建物跡など複数の奈良時代の建物跡が出土。天平2(730)年の「大倭国正税帳(やまとのくにしょうぜいちょう)」に登場する「香山正倉」跡とする説が有力だった。

 しかし奈文研は今回の報告書で発掘現場が当時、香山正倉があったと推定される高市郡に属していたという資料がないことや、見つかった倉庫とみられる建物遺構が1棟分だけ-などの理由から、発掘現場を香山正倉跡と考えるのは難しいとしている。

 この問題については、今春飛鳥資料館で開催された特別展でも同様の見解が示されていた。

 一方で奈文研は同じ発掘現場で見つかった国庁に相当する規模の藤原京期の建物遺構について、藤原宮隣接地という点も踏まえて、京内役所の「左京職(さきょうしき)」とみるのが妥当としている。

最終更新:8/11(金) 7:55
産経新聞