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戦死の兄思い人形制作 西脇の村上さん 20年以上活動、最後の作品展

8/11(金) 7:55配信

産経新聞

 先の大戦で、出征する兄を見送る少女や戦死した兄の遺骨を抱える少女など、自身の戦時体験を表現した人形を作り続けてきた。西脇市和田町の村上しま子さん(86)は、これまでに約80点150体以上を制作。「二度と悲惨な戦争を繰り返してはならない」と訴えてきた。戦後も70年が過ぎ、高齢を理由に、市内で開いてきた展示会と戦争をテーマにした人形作りは今年で最後にするという。

 村上さんは昭和6年、兄2人、姉2人の5人きょうだいの末っ子として生まれた。村上さんが子供のころに両親が亡くなり、長兄の田中信義さんが「親のような存在だった」という。田中さんは18年に陸軍に召集。満州(現中国東北部)を経てフィリピン・ルソン島に転戦し、19年5月に24歳で戦死した。

 村上さんは兄の戦死の知らせを聞いた瞬間、見送りに行ったときに兄が発した言葉が脳裏をよぎった。「白いご飯、食べたかったな」。あの日から70年以上たった今でも忘れられないという。

 兄が満州へ向かう前、姉2人と面会に行ったが、持参したおにぎりは上官に没収された。運動場で、兄の姿を見つけた村上さんが「ごめんね」と謝ると、寂しそうに「白いご飯、食べたかったな」とつぶやいたという。兄の姿を見た最後だった。

 兄の50回忌にあたる平成6年から作り始め、展示会を開いてきた。制作した人形は、戦中戦後の国民の暮らしを伝える資料などを展示する昭和館(東京)に寄贈し、これからも多くの人たちに戦争の悲惨さを伝え続ける。

 西脇市の市茜が丘複合施設「みらいえ」で10日から始まった村上さんの作品展は「戦時の暮らし」をテーマに60点が紹介。兄を見送るシーンのほか、兄の写真も展示され、来場者が真剣な表情で見入っている。

 16日まで。入場無料。午前9時~午後6時(16日は午後5時まで)。

最終更新:8/11(金) 7:55
産経新聞