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<兵庫>廃材に生命吹き込む 宝塚のアマ木工作家

8/11(金) 13:24配信

毎日新聞

 廃材を利用したアマチュアの木工作家、木畑高治さん(78)=兵庫県宝塚市=の作品が「温かみがあり、おとぎの国のよう」と人気を集めている。欧風の家々など手の込んだ作品群は近年、東日本大震災の被災地へ贈られるなど広がり始めている。【高尾具成】

 木畑さんは木工芸とは畑違いのテキスタイル(織物)・デザイナーとして働いてきた。「播州織」の産地である西脇市内の高校を卒業後、毛織物販売会社に就職、商品開発企画部に勤務した。既製スーツが主流ではなかった時代、日本は世界に向けた生地生産国の役割を担っていた。英国やイタリアなどへ飛び、研究を重ねた。作品に欧州の町並みが多いのはその頃の思い出からだ。木畑さんは「英国の多くのチェック模様、感性とデザインに富んだイタリアの生地など、日本に本当に良いものを伝えたいという思いでいっぱいでした」と振り返った。

 しかし、50歳で退社する。北イタリアの高級織物の産地ビエラで「毛織物を設計する理論」に出会い、本格的に追求したい思いに駆られたからだ。「原料や用途、組織や番手(糸の太さ)、そして仕上げ。イタリアには100年を超す理論構築があり、それが生地の良さを生み出す背景にあったんです」。以後、独学でその理論を解析することに時を費やしてきた。十数年前からは生地生産国として伸長した韓国や中国で指導にもあたった。

 多可町出身。10人の兄弟姉妹の8番目で、なにしろ「ものづくり」が好きだった。母の洗濯かごを作ったり、京都・奈良への修学旅行の報告書も写真や地図付きで冊子にして提出したほどだった。

 約8年ほど前から解体家屋の廃材などを見るたびに「再利用できないものか」と気になり出し、廃材の提供を受けては欧州の木組みの家々や日本の古民家、列車などのミニチュアを作り出した。

 「誰のためでもなくて、ただ廃材に生命を吹き込みたい思いだけで始めました。『もったいない主義』からですね。材料からモノを創造する意味では生地と一緒ですよ」

 玄関口や庭先に置かれた木工作品は、口コミで広がり、今では個展を開催するまでに。近年、東北への被災地にも贈られるようになり、材料費負担で提供もしている。生地の研究も継続中で「自分の研究を役立ててくれる場があれば、どこへでも行って伝えたい」と話している。【高尾具成】

最終更新:8/11(金) 14:08
毎日新聞