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<ホンダ・マツダ・日産>名車、再び走る 補修や部品再販へ

8/11(金) 22:31配信

毎日新聞

 自動車各社が、販売終了から時間がたった「名車」の補修や部品の再販といったサービスを始める。古い車の純正部品は手に入りにくく、望んだ修理ができずに車を手放すファンも少なくない。各社は長く乗り続けてもらうことで車の魅力を訴え、車産業を盛り上げたい考えだ。

 ホンダは1996年末まで販売したオープン軽自動車「ビート」用の部品の注文を23日から受け付ける。ホイール、シートベルト、ヒーター部品など4種類から始め、10月以降はエンジンや内外装部品など70種類を追加する。部品メーカーが金型から作り直す費用もかさむため、価格は量販当時の平均5割増しだという。

 マツダは、98年1月まで販売したオープンスポーツ車「初代ロードスター」を補修する有償サービスを18年初頭から始める。車の状態やオーナーの要望に応じて部品交換や修理、洗浄などを行い、販売当時に近い状態に戻す。広島市の本社に工房を新設。補修サービスで先行するドイツの検査機関から認証を受けた。幌やタイヤ、ハンドルなどのパーツも復刻して18年初頭から販売する。

 日産自動車も、販売を終えた車の部品の再生産・供給を検討中。時期は未定だが、スポーツ車「スカイラインR32GT-R」から始めて、車種を広げていく予定だ。

 現在国内を走っているビートは2万台、初代ロードスターは2万3000台。量販中の車に比べれば、部品は少量生産とならざるを得ず、事業として見た場合「赤字にはならないが収益性は悪い」(ホンダ)という。

 それでも各社が取り組むのは、自社の車に乗り続けたいというファンの声に応えることで、ブランド価値の向上が見込めるからだ。ホンダの家老(かろう)亘・部品部部長は「乗り続ける喜びを最大化することでファンを守り、増やし、ブランド向上の一助にしたい」と話す。マツダの山本修弘(のぶひろ)・商品本部主幹も「長く乗りたいという顧客に感謝し期待に応えたい」と意気込む。

 自動車産業に詳しい佃モビリティ総研の佃義夫代表は「今回サービスの対象になるのは、根強いファンを抱える名車ばかりだ。車好きが多い団塊の世代が魅力を再発見すれば、市場の活性化も期待できる」と指摘する。【和田憲二】

 ◇「長く乗りたい」に対応

 生産・販売を終了した自動車の補修部品をメーカーが保有しておく期限を明確に定めた法律はない。各社がそれぞれ独自に判断して部品を保管しているという。10~20年間は部品が残っている例も多いが、一般的に年数がたつほど純正部品は在庫が減っていく。

 古い車を維持して乗り続けたいユーザーは、代わりに市販品を用いたり、中古車や解体業者から純正部品を入手したりする必要がある。そのため、メーカーに部品の販売再開を求める声は根強い。

 一方、ポルシェ、フェラーリ、メルセデス・ベンツなど欧州の高級車メーカーは、補修サービスを導入済み。同じ車に乗り続ける人が多いなど、ユーザーの志向の違いも背景にありそうだ。

最終更新:8/13(日) 16:37
毎日新聞