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9月の次期iPhoneの“中身“はアップルの試金石になる ー AI対応の「出遅れ」巻き返せるか?

8/11(金) 8:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

アップルはこれからも変わらずスマートフォンの王者でい続けられるのだろうか?

8月1日(現地時間)のアップルの決算発表では、直近第3四半期のiPhone出荷台数は全世界で4102万6000台、前年同期比で出荷台数2%増、収益3%増と、「iPhone好調」を印象づけた。しかし、アップルに不安要素が一切ない、と思っている業界関係者は少ないのではないか。

【画像】Siriへの取り組みは確かに早かった。しかし、思い出してほしい。Siriを初搭載したiPhone4sがデビューしたのは2011年、6年も前のこと。もっと進化しても良いはずだ。

中国のデバイスメーカーHUAWEI Technologies(以下ファーウェイ)は、7月27日に行った「2017年上半期業績発表会」で、スマホ業界の今後の道筋を確かにする、ある発表を行なった。同社のコンシューマービジネス事業本部 CEOのリチャード・ユー氏が、AIに対応したSoC(System On a Chip、1チップでコンピュータを実現する統合半導体のこと)を開発しており、それを今年後半にリリースするスマートフォンに搭載すると明言したのだ。

2017年上半期業績発表会でコンシューマービジネス事業本部CEOのリチャード・ユー氏は

「現在我々はAIに対応したSoC(スマホ用の半導体チップ)を開発しており、(9月にドイツで開催される年次家電展示会の)“IFA“で発表する製品でそれをお見せすることができるだろう」

と発言。AI対応半導体の開発を認めた。ユー氏は新しいSoCの具体的な仕様については明らかにしなかったが、AI分野にある程度の知識があれば、技術的な方向性が簡単に想像できるコメントをしている。

「我々のAI機能は、業界標準のフレームワーク、例えばCaffe、TensorFlowなどに対応することができる」(ユー氏)

彼が言及するTensorFlow(グーグルが開発)やCaffeは、業界標準の深層学習向けフレームワーク(開発キット)だ。こうした技術を使ったプログラムを高速、あるいは低消費電力で実行できるようになることは、AIを使うアプリの可能性を大きく広げる。

実は、スマートフォン向け半導体へのAI向け処理支援機能搭載を始めているのは、ファーウェイだけではない。スマートフォン向けSoCの王者であるクアルコム(Qualcomm)も、今年の前半に投入した同社の最新SoC「Snapdragon 835」に、AI向けの処理支援機能の搭載を始めている。両社が目指す方向性は同じだ。

AI向けの処理支援機能とは、具体的にはマシンラーニング(機械学習)やディープラーニング(深層学習)をより高速に処理するための支援機能(アクセラレーターと呼ぶ)のことを指す。こうした半導体業界における「スマートフォン向けのSoCへのAI支援機能の搭載」は、まさに現在のトレンドと言えるものだ。

現代のAIの進展を支えているディープラーニングは、“学習“(データを読み込ませてAIを育てること)と“推論“(育てたAIを利用して画像認識や音声認識などを行うこと)の2つの演算パートにわかれている。“学習“には多大な計算力が必要なので、一般的に端末側で使うのは、学習済みAIを写真の判別などに使う“推論“だ。

ファーウェイのユー氏は公開した資料の中で、同社独自のスマホ向けSoC「Kirinシリーズ」に搭載するAI支援機能の概略について「音声、イメージ、ビデオのスマート認識」と表現している(写真にある「AI」と書かれた部分の左上)。おそらくは、何らかの深層学習(ディープラーニング)の“推論“処理に関するアクセラレーターが実装されていると考えられる。

推論アクセラレータを搭載すると何が変わるのか? これは、アプリ開発において、バッテリー消費や操作レスポンスの観点から、(これまでは)実用にならなかったような用途でAI活用が広がる可能性がある。

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