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「娘の事件忘れないで」夏休みの登校日、幼い命が奪われた 福岡小2殺害から20年 両親の願い

8/11(金) 12:22配信

西日本新聞

 福岡県春日市の小学2年、古川麻衣ちゃん=当時(8)=が夏休みの登校日に殺された事件から6日で20年が過ぎた。社会を騒然とさせた凶悪事件も歳月とともに人々の記憶から薄れるが、遺族の悲しみや喪失感は決して「過去」にはならない。幼い命が不条理に奪われる事件が繰り返される中、麻衣ちゃんの両親は「娘の事件を忘れず教訓にしてほしい」と願う。

 台風5号の影響で強風が吹く6日朝。それでも父親の哲也さん(55)は、自宅から小学校までの道のりを歩いた。「あの日、たどり着けなかった学校まで麻衣を連れて行ってあげたい」。その思いで事件後、命日に毎年続けてきた。

 母親の知津子さん(57)は自宅でお参り客を迎えた。今も命日を前に顔を見せてくれる同級生とその家族が3組いるという。

 麻衣ちゃんは1997年8月6日の登校中に行方不明になり、4日後に山中で遺体で見つかった。通学路沿いに住む男が部屋に引きずり込み殺害したとして逮捕された。

 哲也さんの中で、事件後も麻衣ちゃんは成長を続けている。同級生が中学生になれば中学生の姿を、成人式を迎えれば晴れ着姿を、無意識のうちに想像してきた。最近は、同級生の結婚や出産の知らせを聞くことが増えた。「喜びの一方で複雑な気持ちもあります。なぜ麻衣だけがここにいないの、と考えてしまう」と知津子さんは言う。

 殺人罪などで無期懲役が確定した男は服役中。謝罪は一切ない。実は、3年前から刑務所での男の処遇状況が検察庁から届くようになった。被害者側に加害者情報を知らせる通知制度に基づく対応で、3年前に知人から制度の存在を聞き検察庁に申請した。

 犯罪被害者の支援策は2000年頃から拡充されてきた。だが、制度の告知が不十分と感じることは他にもある。男を相手に起こした民事訴訟で男に支払いが命じられた損害賠償金が、知らないうちに請求できなくなったという。民法の規定で10年の時効になったためだ。時効前に再提訴が必要なことを知らなかった。

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最終更新:8/11(金) 15:38
西日本新聞