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医者が交流できる場を八戸に 酒杯重ね語学研修 京都出身医師が独自の取り組み

8/11(金) 13:00配信

デーリー東北新聞社

 医師が気兼ねなく集い、学べる場を八戸につくりたい―。やわたクリニック(青森県八戸市)の上田亮院長らが今年7月、独自の医師向けの語学研修会をスタートさせた。北奥羽地方の医療現場で活動する人たちの交流を促し、日頃の連携を円滑にするだけでなく、意欲ある若手を全国から呼び込み、八戸で地域医療に携わる意義と魅力を知ってもらうのが狙いだ。

 ■敷居を取り払いたい

 上田院長は京都市出身。英語の同時通訳者として活動しつつ、28歳で大学の医学部に入学した異色の経歴の持ち主。これまで各地の病院で診療に携わりながら、有志を対象に医師向けの英語指導にも力を注いできた。

 2013年、東日本大震災で被災した宮城県気仙沼市の医院に赴任した際、地元医師間の交流の少なさに気付き、特に大病院に対する敷居の高さを実感。当時同僚の川島実さん=奈良市在住=らと共にたびたび酒席を催し、医師が互いに顔の見える関係を結ぶことで、患者の紹介がスムーズにいくような連携態勢を実現し、内外の注目を集めた。

 15年4月に赴任した八戸でも“敷居”に幾度となく直面したことから、気仙沼での成功例を八戸にも根付かせたいと考えた。

 ■格闘技も!?

 初めての研修会は7月29、30日、八戸市の洋望荘で開催。講師陣には川島さんの他、英語の同時通訳者として著名な松本道弘さん=都内在住=、米軍三沢基地内の病院に勤務する米国人医師のデービッド・トレフリックさん=三沢市在住=といった多彩な面々がそろった。

 参加者側も、リウマチ診療の専門医として全国的に知られる萩野昇さん=千葉県市原市在住=ら、市内や県外から約15人が集い、英語での症例報告やディベートを通じて、より専門的な語学力の必要性を実感した。

 「堅苦しい英語研修が主眼ではない」と上田院長。この日の会場には、地元産の海産物や創作料理が並び、酒杯を重ねながらの宴会形式となった。上田院長と川島さんがボクシングに親しんでいる縁で、三沢市出身の格闘家・小比類巻貴之さんも駆け付け、向上心や自己実現をテーマとしたトークを繰り広げるなど、ユニークな2日間となった。

 ■地の利を生かして

 参加者と酒食を共にしながら上田院長が繰り返し訴えたのは、地域医療に携わる大切さと、その利点だ。

 「地方は医師の確保に苦慮している。だが、見方を変えれば、若手にとって中央で学んだ先進的な医療の実践を通じて症例を積み重ね、臨床研究を深められるチャンスでもある」と強調。生きた英語に触れられる三沢基地が近いという、地の利のある八戸で、自身の英語研修などを組み合わせることにより、多くの意欲ある若手を呼び込める―との持論を展開する。

 上田院長は「“多職種で多食酒な連携”を深めれば、後で必ず良い効果を生み出すことにつながる。病院や学閥の壁を超えて集ってもらえるよう、皆をサポートしたい」と力を込める。

デーリー東北新聞社