ここから本文です

大盛況の「レゴランド マレーシア」 集客ふるわぬ日本との違いとは

8/12(土) 12:10配信

ZUU online

4月1日にオープンを迎えたばかりのレゴランドが窮地に立たされているらしい。筆者はマレーシアに住んでおり、レゴランドジャパンには行ったことがないが、デンマーク生まれのブロック玩具をテーマにしたテーマパークが日本で苦戦を強いられているのは想像に難くない。

一方、同じアジアでも2012にオープンしたレゴランド マレーシアは大盛況だ。2017年8月現在のトリップアドバイザーの「アジアトップ20アミューズメントパーク」によると、レゴランドマレーシアは10位に輝いている。なお、1位はユニバーサルスタジオ シンガポール、2位は香港ディズニーランド、3位は香港オーシャン・パークで4位にユニバーサルスタジオジャパン、5位に東京ディズニーランドが続いている。アジア全土で10位というのは素晴らしい結果だ。

マレーシア在住の筆者がレゴランドマレーシアの成功の秘訣を考える。

■競合相手の少なさ

マレーシアに屋外で遊ぶレジャーランドが極めて少ない。熱帯地域ゆえにウォーターパークはいくつかあるが、屋外で乗り物を楽しむ施設は珍しい。

また、イスラム教のルールに従い、提供される食事はハラルでなければならないといった厳しいルールが適応されるために、外資系のアミューズメントパークが進出しにくく競合相手が少ないのだ。

■最も人気の高い知育玩具

レゴはブロックを組み合わせる知育玩具である。1歳半~のレゴ・デュプロ、4~7歳のレゴ・ジュニア、4~99歳のレゴ・クラシックと幅広い層をターゲットにしている。最近は映画のコラボレーション商品も多く、プラモデルのように決まったデザインを指示書にしたがって組み立てるものも人気だ。

マレーシアではレゴは高額だが、教育に力を入れている家庭が多いからかトイザらスをはじめとする大手量販店のレゴコーナーはもちろんのこと、レゴショップやブロック玩具専門店などは常に親子連れで賑わっている。

それだけでなく、レゴや類似品のブロック玩具を通して科学や数学のスキルを伸ばすワークショップや、ロボットやシステムを組み立てるレゴのMindstormsシリーズを教材とするワークショップ、買ったレゴをその場で組み立てるショップも存在する。この国では、レゴは単なる玩具ではなく、教育に欠かすことのできない知育アイテムとして高いブランド力を誇っている。

■大型モールで頻繁に開催されるレゴイベント

日中は外出が憚れるほど気温の高くなるマレーシアは、クーラーの効いたショッピングモールが乱立している。週末は目的もなくショッピングモールで過ごすといった家庭も多い。当然のようにショッピングモールでは毎週のように何かしらイベントが行われ、販促目的のレゴイベントも定期的に開催される。大画面に映し出されるレゴアニメ、ギミックが施されたレゴの展示、自由に遊べるレゴのブースがいくつも用意され、子供たちは夢中になって何時間も遊ぶ。知育玩具として不動の地位を築く一方で、エンターテイメントとしても広く受け入れられているのだ。

■大人の想像力を刺激するサブリミナル展示

小さなお子さんを持つ親が、子供の知育用にレゴを買ったものの子供は思うように遊んでくれない。
子供に「何か作って」と頼まれるものの、親も急にブロックで作れるわけではない。なんとなく親子で壁にぶつかってしまい、子供が自然に興味を持つまで箱にしまわれたまま、というケースは以外と多い。

マレーシアではレゴイベントが多いと書いたが、イベントがない時でもレゴ・ビルダーによる作品がさり気なくモールの一角に常設されていることがある。立ち止まって見てみると使い道がわからなかったブロックの活かし方や創造力を刺激するヒントが見つかることがある。そして実際にレゴに触ってみればわかる通り、ピンポイントで欲しいレゴブロックは何かのセットを買うか、レゴランド内のショップのバラ売りでしか手に入らないことがある。

■レゴをテーマとした映画の成功

レゴランドを語る上で、2014年にレゴの世界観をそのままアニメにした『LEGO ムービー』の存在も欠かせないだろう。ブロックが動く長編アニメに世界が熱狂するなどと一体誰が想像しただろうか。しかし、予想に反して映画は大成功を納め、アカデミー賞長編アニメ部門の受賞さえ期待された。

2017年には『レゴバットマン ザ・ムービー』が公開され、次回作として『レゴニンジャゴー ザ・ムービー』が控えている。映画界においてのLEGO熱はしばらく続きそうだ。

■立地条件とマレーシア人優待割引

レゴランド マレーシアは、シンガポールに隣接するジョホルバルにある。ジョホルバルは2006年に始まったイスカンダル計画で有名だ。2005年で130万人だった人口を2025年までに300万に増やそうという巨大プロジェクトであり、現在、急ピッチで開発が進められている。レゴランドマレーシアは将来的にオフィス、商業施設、ホテル、コンドミニアムといったものが集中するヌサジャヤ地区に位置するが、開発途中ということもあって周囲には何もない。

筆者はレゴランドジャパンがオープンする2ヶ月ほど前に旧正月休暇を利用してクアラルンプールから片道5時間かけてレゴランドマレーシアに行ったが、宿が並ぶ地域からレゴランドまでのほとんどが開発予定地区と看板が並ぶのみ。ポツンと見えたレゴランドに廃墟を連想したほどだ。

レゴランドの目の前にはレゴランドホテルがあり、足を踏み入れた瞬間からレゴの世界を堪能することができる。周辺に店はあるが、盛り上がりにかける。つまり、その場所で最も盛り上がっているのはレゴランドのみ。必然的にレゴの世界に浸ることになるのだ。

マレーシアの多くの娯楽施設がそうであるように、レゴランドマレーシアもMy Katというマレーシア人であることを証明するカードを提示することで割引されるマレーシア人優待割引を導入している。
パスポートに就労ビザが貼られていてマレーシア在住が証明できれば外国人でも割引を受けられる場合もあり、レゴランドマレーシアでも適応されていた(2017年3月当時)。

レゴランドマレーシアのオンラインブッキングページをみると、通常料金は195リンギ(約5040円)だが、My Kat保有者は146リンギ(約3700円)に割引される。なお、My Katを持っていなくとも一週間以上余裕を持って日にちを指定してオンライン予約すると156リンギ(約4000円)に割引される。(2017年8月現在)自国民、地元民の優遇は年間パスポートの売り上げに繋がっているだろう。

■日本のレゴランドが起死回生をはかるには

最後に、レゴランドジャパンがレジャーランド激戦国の日本で差別化をはかり、起死回生をはかるにはどうしたらいいかをマレーシアをヒントに考えたい。

日本にもレゴは浸透しているが、本格的にレゴを学べる施設は少ない。では、レゴランド内にレゴ・ビルダー育成教室を作り、地元民をターゲットに教室用年間パスポートを売り出すというのはどうだろうか。他国にあって日本にない、しかし日本に作れば行きたいと思う人が多そうなのはレゴを学ぶ施設だと筆者は思う。

指先の運動にもなり、想像力も育まれる。長期休みにはレゴを通して科学や数学を学ぶ集中特訓コースなどを企画するのもいいかもしれない。親目線で希望をいえば、教室用パスポートにレゴセットの割引特典があると嬉しい。

先日、レゴランドの敷地を1.4倍に拡大するというニュースが流れたが、万が一にも本家アメリカのディズニーワールドよりも世界観を重視し圧倒的なホスピタリティで来場客を魅了するディズニーリゾートや、日本人が好みそうなキャラクターを積極的に取り入れ他国との差別化に成功したユニバーサルスタジオジャパンと同じ土俵で戦おうと考えているのであれば、それははたから見て無謀だ。

マレーシアでのレゴ事情を肌で感じている筆者は、知育玩具としてのレゴのブランド力を遺憾無く発揮したアプローチが必要ではないかと考える。(中川真知子、フリーライター)

ZUU online

最終更新:8/12(土) 12:10
ZUU online