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世界陸上マラソン日本勢惨敗 精神論では勝てない 賞金高額化「ニンジン」作戦が必要だ!

8/12(土) 14:31配信

産経新聞

【スポーツ異聞】

 「3年後の東京五輪では男女ともマラソンのメダルはなしだね?」。日本時間6日夜、TBS系列で放映されたロンドン世界陸上選手権の生中継を見ながら、そう思ったお茶の間のファンも多かったのではないか。

 午後7時前にスタートした男子。日本勢は早々と先頭集団から消えた。あれ、もう駄目かな、リオデジャネイロ五輪のような惨敗劇か-と思っていると、終盤に入って、中本健太郎(34、安川電機)が突然画面に現れ、落ちてきた選手を拾いながら、順位を上げていく。9位まで上がり、おー、あと1人で入賞か、と思っていると、後ろからあの「公務員ランナー」川内優輝(30、埼玉県庁)が、これまた突然、現れ、すごいスピードで中本を抜き去った。おー、川内が入賞か、と思ったが、レースはここまで。結局、川内9位、中本10位という結果に相成った。ちなみに、井上大仁(ひろと=24、MHPS)は24位だった。

 入賞まで、あと一歩じゃないか。もう少し頑張れば、入賞は狙えると喜んでいる場合ではない。先頭集団に食らいつき、粘って最後に突き放されての9、10位ならばまだしも、後ろからの脱落した選手を抜いて上がっている消極的(議論は分かれるところでしょうが、少なくとも筆者はそう思う)なレースに疑問を抱いたファンも多かったのではなかろうか。

 女子は、清田真央(23、スズキ浜松AC)が16位、安藤友香(ゆか=23、スズキ浜松AC)が17位、重友梨佐(29、天満屋)が27位。単純に順位を比較すると、男子よりも悪かったが、それでも、清田は何度も遅れそうになりながら、35キロ付近まで、先頭集団に食らいついた。その敢闘精神はたたえられるが、レースマネジメントというか、戦略がなく、プロのレースとはいいがたかった。

 TBS系列では瀬古利彦氏(60)が解説していたが、コメントにも首をかしげざるを得なかった。日本陸上競技連盟のマラソン強化戦略プロジェクトリーダーという仰々しい肩書を持ちながら、「入賞の壁は大きい」とまるで他人事。今大会を最後に日本代表から引退することを公言している川内について「もっともっとやってほしい。もったいない。やめる必要はない」と語ったが、これは、どの立場で言っているのか。リップサービスのつもりだろうが、もし、必要ならば、直接、川内と話し、説得すればいいのではないか。

 この瀬古氏は、今年6月、駅伝の強豪校、青山学院大との意見交換会でのパネルデスカッションで「駅伝をやってからマラソンというのは間違い。365日走れる選手をつくってほしい」と訴えた、という。いわば、「走れ」「走れ」の精神論。背景には、瀬古氏がものすごい練習量を積んだことで大会で優勝してきた、現役時代の成功体験にあるのだろう。

 だが、21世紀に入って久しい昨今、イマドキの若いランナーが、「我慢」「忍耐」だけでついてくるとは思えない。ならば、どうするか。スポンサーを募り、マラソンで勝ったり、メダルを獲得したりした日本人ランナーに高額な賞金を提供するニンジン作戦は有効だろう。「金でつるのか」と言わないでほしい。今や、ゴルフ、サッカー、野球とトップ選手は億単位の年俸を稼いでいるのだから。

 もう1つの案は、2年前のラグビー日本代表でエディー・ジョーンズ氏が行ったように、代表選手を半年なり、1年なりと言った長期間にわたって拘束し、徹底した合宿を行い、陸連の強化委員会主導で、指導し、強化することだろう。所属する実業団チームや大学チームに任せにせず、である。

 東京五輪まで、あと3年しかない。今のうち、抜本的に手を打たないと、手遅れになる。

最終更新:8/14(月) 11:23
産経新聞