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“メードイン大分”の衛星が宇宙へ、中小4社と九州工大が共同開発

8/12(土) 8:30配信

日刊工業新聞電子版

■事業費1000万円、来年打ち上げ

 大分県内の中小企業4社と九州工業大学は、2018年に打ち上げを予定している地球低軌道環境観測衛星「てんこう」の共同開発に乗り出した。主要な構造部品やシステム回路など、過酷な宇宙環境で作動する機器を設計、開発する。そこで培った技術を基盤とした産業の広がりにも、大分県を中心に関係者から大きな期待が寄せられている。

 共同開発に参加する4社は江藤製作所(大分市)、デンケン(由布市)、ニシジマ精機(佐伯市)とケイティーエス(杵築市)。江藤製作所とニシジマ精機は、アルミニウム合金と炭素繊維強化樹脂を複合した外部構造と内部構造の開発を担当。デンケンが手がける自律型電源・通信管理システムと、ケイティーエスの衛星制御システムは、宇宙環境で正常に作動できるかどうかが開発に向けたテーマとなる。

 製作に係る事業費は約1000万円。カメラやセンサーは市販品を利用するが、4社で手がける部品で衛星全体の7割を占めるため、文字通り“メードイン大分”の衛星となる。

 4社は大分県航空機産業参入研究会のメンバー。宇宙工学などが専門の奥山圭一九州工大教授が同研究会で衛星開発への参画を呼びかけ、4社が名乗りを上げた。

 「てんこう」は宇宙航空研究開発機構(JAXA)が18年度に打ち上げる温室効果ガス観測技術衛星2号「GOSAT-2」に相乗りする小型副衛星の一つ。宇宙空間に2年間滞在する予定。宇宙放射線の観測や先進材料の宇宙環境劣化測定などをミッションとしている。

 4社は17年12月までに試作モデルを製作する。その後、九州工大でフライトモデルを試作し、18年4月にJAXAへ引き渡す計画。

 衛星ビジネスは国内外で広がりが期待されており、今回のプロジェクトが成功すれば同ビジネス参入の契機となる。また、構造体やシステムが過酷な宇宙環境でも利用できることが証明できれば、航空機産業や原子力発電所などの特殊環境でも応用が期待できる。

 プロジェクトの事務局を務める大分県産業創造機構(大分市)の木谷尚事務局次長は「宇宙空間で通用する技術を持っていればグローバルで戦うことができる。県内企業のレベルアップにつながる」と、開発の進展に期待を寄せる。