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三浦皇成、奇跡の復帰へ(前編)「下半身の感覚が全くなかった」

8/12(土) 7:00配信

VICTORY

昨年の8月14日。札幌競馬場で落馬し大怪我を負って以来、ターフから姿を消した騎手の三浦皇成。彼は現在、どこで何をしているのか。これまでの騎手人生を簡単におさらいした上で、あの忌まわしい事故から現在までを本人の弁もまじえ、前後編の2回に分けて紹介していこう。(取材・文:平松さとし 撮影:松岡健三郎)

■若くして世界レベルの活躍が期待された

1989年12月29日、東京都練馬区で皇成は生を受けた。小さい頃は剣道や水泳、器械体操らにも精を出したが、全ては「将来ジョッキーになるためだった」と本人は言う。

「5歳の時に初めてポニーに乗り、それを機にジョッキーになりたいと思いました。だからその後に興じたスポーツや習い事は全てジョッキーになるためにやっていました」

そんな強い思いを叶え、2005年にJRA競馬学校に合格すると、3年後の08年、無事に騎手デビューを果たした。

それから全国区に名を知らしめるのに時間は要さなかった。デビュー3戦目で早くも初勝利。それもいきなり特別レースで飾ると8月には早くも重賞初制覇。大型新人ジョッキー出現と騒がれた彼がさらに名を轟かせたのは10月。それまで最多とか最速、最年少といったありとあらゆるジョッキーの記録を保持していた天才・武豊が作った新人最多勝記録の69を更新する70勝目を挙げたのだ。

結局1年目はその記録を91まで更新。もちろんそれは未だに破られていない大記録で、2年目の2月には史上最速となる通算100勝目もマークしてみせた。

さらにデビュー2年目、3年目と連続でイギリスへ飛んで武者修行。かの地でも初騎乗で初勝利をマークするなど、早くも世界レベルでの活躍が期待された。

ところが勝負の世界は甘くなかった。若手騎手に与えられる負担重量減量の恩恵が無くなると「以前と同じ競馬では残れなくなった」(本人)。当然、勝ち鞍は激減した。デビュー直後のスタートダッシュが凄まじく、皆が彼の将来に大きな期待を懸けたことも知らぬうちにプレッシャーとなったのだろう。勝てないからもがく。もがくから勝てないという負のサイクルが徐々に皇成の身体と精神にからみついていった。

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最終更新:8/12(土) 7:00
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