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落語家・桂小南治さん、9月に「桂小南」襲名 名跡背負う抱負、春日部市役所で報告

8/12(土) 10:30配信

埼玉新聞

 9月に3代目桂小南(こなん)を襲名する埼玉県春日部市出身の落語家、桂小南治(こなんじ)さん(55)が7日、市役所を訪れ、石川良三市長に襲名を報告。春日部での思い出、今後の抱負を語った。

 春日部で生まれ育ち、武里小、武里中を卒業。現在も市内に居住する小南治さん。「春日部は良いところ。田んぼがあり、自然が多い。離れる気にならない」と地元への愛着を口にする。

 18歳で故2代目桂小南さんに入門。「春日部を離れるのがつらかった」と、都内の鷺宮で1人暮らしを始めた時のエピソードを明かした。

 父親は紙切り名人だった故2代目林家正楽さん。入門する際には1人暮らしではなく、春日部から通えるよう父に言ってもらう約束だった。ところが小南さんから「近くに住むこと」と言われ、父はあっさり従う。

 「何で(通えるよう)何も言ってくれなかったのか」という問いに、父の答えは「小南師匠は雲の上の人」。「父ちゃんにとって雲の上なら、俺はどの辺にいるの?」と聞き返すと、父は「地球を通過してブラジルくらい」と指で地面に指した。

 寂しくて、アパートを抜け出し、春日部の実家に戻ったこともあったが、ドアの前まで来ると、家の中から家族の笑い声が聞こえた。「ここで帰ったら、みんな戸惑うに違いない」と思い、引き返した。

 父の紙切りを継ぐつもりで入門したが、2代目小南さんの姿にひかれ、落語の道を選んだ。京都出身で上方落語を東京で広めた師匠について、「悟りを開いたお坊さんのような人」と振り返り、「東京で広まった古典落語が、実は上方の落語だったということを知ってもらいたい」と話す。

 父正楽さんのことも楽屋では師匠と呼んだ。そんな息子を気遣い、父は小南治さんと春日部に帰る時、「2人になった時は父ちゃんと呼べばいいんだ」とささやいたという。

 2人の師匠の遺志を継いで3代目小南を襲名する小南治さん。21年ぶりに復活する名跡を背負うことになるが、報道陣から「春日部とかけて」と、振られても笑みを浮かべてこう返した。

 「春日部とかけて北海道の摩周湖と解く」

 ―その心は?

 「キリ(桐・霧)で有名です」



 襲名披露興行は9月21日から、都内の新宿末広亭を皮切りに始まる。10月1日からは浅草演芸ホールで行われる。

最終更新:8/12(土) 10:30
埼玉新聞