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三浦皇成、奇跡の復帰へ(後編)「ケガをする前より進化した自分に」

8/12(土) 7:00配信

VICTORY

■「皮膚の中に、針がずっと刺さっているような」

昨年の8月14日。札幌競馬場で落馬し大ケガを負った三浦皇成。骨盤骨折のほか、肋骨は9本が折れ、そのうち3本が肺に突き刺さるという重傷で、長期のリタイアを余儀なくされた。わずか2週間ほどの間に3度の手術。それが成功し、ようやく主治医から「馬に乗れるようになるかも……」という言質をもらった。しかし……。

「左の足首の感覚は戻らないし、相変わらず痛みもひどい状態が続いていました」

もちろんベッドに寝た切りの状態も続いていた。それでも自主的に動かせる箇所だけは動かした。忌まわしい事故から1カ月が経過した。「痛みに慣れたのかだいぶ気にならないレベルになった」(本人)ことでようやく転院に耐え得る体になったと判断され、北海道から自宅近くの茨城へ移動できることになった。

「ただ、肺をやられていたので気圧の変わる飛行機は許可がおりませんでした。苫小牧まで陸路で移動した後、大洗までフェリーに乗り、そこからまた車で茨城の病院まで運ばれました。もちろんずっと車椅子での移動になりました」

転院後も徐々に動かせる箇所を動かしていったが、違和感は相変わらず消えなかったと言う。そして、その刺激は再び苦痛をもたらした。

「皮膚の中に針がずっと刺さっているような感じで、ついには3日間、ろくに眠れない感じになりました」

神経が刺激されていた。また、恥骨部分が炎症を起こし、膿がたまっていることも判明。今回のケガでは4度目のメスが入った。前進したかと思えば再び後退する。そんな思いの日が続き、季節は夏から秋へと変わっていった。

「当たり前といえば当たり前ですけど、それでも競馬は構わず開催されていました。僕が乗る予定だった馬や実際に乗っていた馬にも他のジョッキーが騎乗して普通に競馬をしている。『自分なんか小さな存在だな……』『僕なんか忘れられちゃうのかな?』って思ったら、競馬をみる気にもなれませんでした」

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最終更新:8/12(土) 7:00
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