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個人年金保険とは?メリット、デメリットを徹底解説

8/13(日) 11:10配信

ZUU online

老後の備えは十分ですか?

生命保険文化センターが2016年度に、18歳~69歳の男女を対象に「生活保障に関する調査」を実施しました。その中で「老後資金に対する充足感を尋ねたアンケート」を行ったところ、回答のあった約4000人のうち「充足感なし」と答えた人が71%と多数を占めていたそうです。

一方で、老後資金の準備のために個人年金保険に加入している人は21.4%、回答者の5人に1人は加入していることになります。老後に備えている人の多くが活用している個人年金保険。ここでは、特徴やメリット・デメリットを解説します。

■個人年金保険とは?

個人年金保険は、国民年金や厚生年金などの公的年金に上乗せをする目的で加入する、私的年金の一つで、保険会社や銀行などで貯蓄型保険として販売されています。

保険料は一時払いのほか、20年、30年と一定期間積み立てることもでき、60歳や65歳など契約時に決めた年齢に達してから、5年や10年などの一定期間もしくは一生涯にわたって年金を受け取る仕組みです。退職から公的年金が支給開始されるまでの間、収入が得られない期間に受け取ることができるのも大きな魅力です。

また、個人年金保険で支払った保険料は、年間最大4万円分が所得控除(☆)されるため、節税の効果もあります。例えば、所得控除額が4万円で所得税10%、住民税10%の場合、税金が8000円安くなるのです。

☆控除(こうじょ)とは?
税負担がなるべく色んな人にとって平等になるように考えられた「配慮」のこと。例えば、妻というパートナーを養っている人については、単身者に比べると生活をするのが大変なので、税金の負担を軽くしてあげましょう、という制度が「配偶者控除」です。

■公的年金制度と何が違う?

そもそも、国民年金や厚生年金などの公的年金と個人年金保険とでは、根底にある考え方が大きく違います。

公的年金は「世代間扶養」という考え方のもと、「賦課(ふか)方式」で運営されています。賦課方式とは、今、働く現役世代が払っている保険料を、現在の年金受給者への支払いに充てるというやりかたです。そして、今の現役世代が年金を受け取るとき、その年金に充てられるお金を払うのは、もっと下の世代になります。

ちなみに、現在は現役世代おおよそ3人で年金受給者1人を支えていて、もしこのまま少子高齢化が進めば、2050年には現役世代1人で年金受給者1人を支えなければならなくなると言われています。

一方、個人年金は「積立方式」で、現在の積立は、そのまま老後の自分のためのものになります。

賦課方式も積立方式も、それぞれにメリット・デメリットがあります。例えば、継続的に物価が上昇する「インフレ」になり、金利も上昇した場合はどうでしょうか。

積立方式では、契約時の低金利を前提に給付額が決まっていますので、実質的には受け取りが目減りすることになります。もし、世の中の金利が3%に上昇したのに自分の積立は1%だったとしたら、その差は2%。これが10年続いたら2%×10年=20%、実質的には20%も損をしたことになってしまいます。

賦課方式では、現役世代の給与が上昇している可能性が高く、支給される年金額も物価上昇に応じて増えていると考えられます。一方、賦課方式のデメリットは、少子高齢化に弱いということです。

いずれにしても、公的年金は国の制度として老後資金のベースとなるものです。でも、それだけでは不安だと思っている人も少なくないはず。理想に近い、もっと豊かな老後を送りたいと思うのならば、公的年金に上乗せして蓄えておく必要があります。私的年金である個人年金保険は、そのための手段の一つなのです。

■個人年金保険の種類は何がある?

ゆとりのある老後資金づくりのために上乗せする金融商品として、最初に思いつくのが「個人年金保険」という人は多いと思います。けれども、商品内容はさまざまです。積立期間も長くなりますので、よく理解せずに加入してしまうと後悔することになるかもしれません。

個人年金保険には多くの商品がありますが、年金の受け取り方によって、基本となる形は「終身年金」「有期年金」「確定年金」の3種類に分類されます。この派生商品として、外貨建てや変額年金などもありますが、まずは基本の形について、特徴や、メリット・デメリットを知っておきましょう。それぞれ詳しく見ていきます

■終身年金とは?

「終身年金」という名前を分解すると、「(一)身」が「終わる」までの「年金」となりますね。本人が生きている限り一生涯、年金を受け取ることができるのが終身年金です。そういう意味では公的年金と似ていますね。

長生きリスクに対応できるのが大きなメリットで、デメリットとしては、年金の受給開始から間もない時期に亡くなると、払込保険料の総額より年金受取額のほうが少なくなる場合が多いこと。受給開始直後に亡くなると、ほとんど年金を受け取らないままという可能性さえあり、当然返金もありません。

このため、最近は万が一、受取人(被保険者)が早く亡くなってしまった場合でも、引き続き遺族が被保険者の保険金を受け取れることができる「保証期間付き終身年金」が多く販売されているようです。これは、被保険者の生死にかかわらず、5年、10年などの保証期間内は保険金が支払われるというものです。

■有期年金とは?

「期(間)」が「有」る年金と書いて「有期年金」。10年、15年、20年など決められた期間に年金を受け取ることができます。ただし、受取人である被保険者が生きている限りという条件付き。被保険者が死亡した時点で年金払いはストップします。先ほどの終身年金の「生きている限り」と、この後に説明する確定年金の「決められた期間に」という特徴を合わせた、中間的なタイプと考えていいでしょう。

被保険者が亡くなれば年金はストップ、生きていても受け取り期間の終了時点で年金ストップという、もらえる期間が3種類の中で一番短くなるのが特徴です。その分、終身年金や確定年金に比べて、月々の保険料が安いというメリットがあります。

デメリットは終身年金と同じく、年金の受給開始から間もない時期に亡くなると、年金の受取額が少なくなること。仮に、受給開始直後に被保険者が亡くなると、ほとんど年金を受け取らないままになるということです。そのため、保証期間付き終身年金と同様に、最近では「保証期間付き有期年金」も多く見られます。

■確定年金とは?

将来の年金の受取期間が5年、10年、15年などと確定しているのが「確定年金」です。そして、万が一、年金の受取期間中に被保険者が死亡した場合でも、遺族が残りの年金を一時金で受け取るか、そのまま年金として受けるかを選ぶことができます。ここが有期年金と異なるところで、支払った元本は、被保険者・遺族のいずれかが確実に回収できるわけです。

支払う保険料、受け取る年金額、受取期間は契約時に決まるので、ライフプランが立てやすいのもメリットの一つです。近年では、公的年金が受給できるまでの“つなぎ”として活用する人が多いようです。

支払う保険料は大抵の場合、終身年金より安く、有期年金より高くなることも覚えておきましょう。

■個人年金保険を計算してみよう

ここまで、個人年金保険の基本となる3種類を説明してきました。それでは、実際の年金額や支払う保険料は、どのくらいなのでしょうか。保険会社や商品によっても異なりますが、今回は、三井住友海上あいおい生命の商品を例に、「確定年金」と「保証期間付き終身年金」で試算してみました。

三井住友海上あいおい生命でシミュレーション
・契約年齢=30歳女性
・月払い保険料=3万円
・払込満了年齢=60歳
・年金支払い開始年齢=60歳
・年金支払い期間10年
※確定年金:10年/保証期間付き終身年金:保証期間10年

上記の設定でシュミレーションした結果、年金受取額は

10年確定年金=年108万7500円
10年保証期間付き終身年金=年34万8600円
となりました。ちなみに、月々3万円を30年間支払うと、合計で1080万円になります。

10年確定年金では、10年間で受け取る合計額が1087.5万円と、確実に回収できるうえに、受け取る年金が元金よりも少し多くなります(返戻率100.75%)。

一方、10年保証期間付き終身年金では、1080万円を全て受け取ることができるのは、受け取り開始から約31年後になります。60歳に受け取りが始まり91歳から支払い分を超えるため、以降、長く生きるほどお得になります。

一見、確定年金のほうが早く元金を回収できるので良いように思えますが、年齢が上がるごとに、終身年金は大きな安心につながるかもしれません。

どのタイプが自分に合っているのか、まだ若いうちは想像がつきにくいと思います。まずは、複数の商品の見積もりを取りましょう。払込保険料の総額や、受け取る年金の合計額などをシミュレーションして、納得したうえで加入することをおすすめします。

■個人年金保険に入る前に

最後に、個人年金保険に加入するときの注意点をいくつかお伝えします。検討中の人も、今すでに入っている人も、ぜひチェックしてみてください。

1.年金の利回りをチェック
まずは、年金を積み立てる際の利回りを確認しましょう。

個人年金保険は、契約時の金利をもとにした予定利率が満期まで続きます。例えば、30年後に受け取る個人年金保険の返戻率が110%だとしても、年率に換算すると0.1%程度です。それでも、超低金利時代の今、預金よりはマシだと思うかもしれませんね。

反対に、将来もっと景気がよくなって、世の中の金利が上昇する可能性を考えると、あまりお得ではなくなってしまうかも……と考える人もいるでしょう。中途解約すると元本割れするリスクがあるために途中解約しにくく、保険を見直しにくくなることも注意していただきたい点です。

また、長期間にわたって確実に払い続けられる、無理のない金額で始めることが大切です。

2.保険会社の格付け評価をチェック
できれば、保険会社の信用力もチェックしてください。支払い期間と受取期間を合わせると何十年もの長いお付き合いになります。その間に、万が一保険会社が破たんしても、生命保険契約者保護制度で保護されてはいますが、全く影響がないとも限りません。格付け会社の評価Aランク以上が理想的です。

3. 確定拠出年金もチェック
まだあります。先ほど、節税効果について述べましたが、実はもっと大きな所得控除額が適用される年金制度があるのです。それは確定拠出年金です。

個人年金保険で所得から控除できるのは年間4万円までです。ところが、確定拠出年金は掛け金の全額が控除でき、その分、税金も多く戻ります。この2つは別枠で所得控除できますので、合わせ持ちでいいとこ取りをするというのも一案ですね。

年金は理想の老後を送るための準備の一つです。早めに少しずつ始めていきましょう。

深川美幸
大手証券会社、外資系投資信託運用会社などに勤務後、出産・育児に専念するため退職。2016年より、株と投資信託を中心にした女性限定の資産運用セミナーを主宰。ファイナンシャルプランナー(CFP)

(提供:DAILY ANDS)

最終更新:8/13(日) 11:10
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