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森重樹一(ZIGGY) 流行り歌に惹かれながら育った自分はロック畑では特殊だった/インタビュー前編2

8/13(日) 15:30配信

エキサイトミュージック

 
■森重樹一(ZIGGY)/『ZIGGY SINGLE COLLECTION』インタビュー前編(2/2)

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曲を作ることというのは自分にとって、単にオタマジャクシを綺麗に並べることではない

――ロックバンドの場合、シングルがヒットしたことによって音楽的方向性に迷いが生じたり、もっとヒット曲が欲しくなって色気を出し過ぎるようになったり、といった事態に陥るケースもあると思うんです。そういうことは実際ありましたか?

森重:いや、俺の場合、むしろ商売っ気がないなと思うんですよ。もっと欲を出した曲作りだって、やろうと思えばきっとできたはずだと思う。だけどそれをしなかったし、しなくて良かったんだろうなとも思う。自分が作ったものに結果的にシングルになり得る資質が伴っているのであれば、そういう形で世に出ていけばいい――単純にそういう考え方でしたね。たしかに「Jealousy~ジェラシー~」とか「STAY GOLD」といったあたりはシングルになる前提みたいなものがある程度あったわけです。でも、そこで当時のスタッフには商売っ気があったかもしれないけど(笑)、自分としては、テメーの書いた曲がどう扱われようが構わないというところがあったから。タイアップが付くのに相応しいものなんであればそうしてくれればいいし、そうでないなら普通にアルバムに入れさせてくれればいい。同時に、そこで自分がやっていることはアートなんだという驕(おご)った意識はなかったし、流行り歌というものに惹かれながら育ってきた自分がそういうものを作ろうとしているんだ、という部分もあるにはあったし。実際、自分が惹かれる流行り歌の種類のひとつとしてロックンロールがあったわけだから。そして、ロックンロールを歌うこういう感じの人になりたい、と思いながら自己プロデュースをしてきたわけです。そのなかで書いた曲がどういう形で世に出ていくかということには、特にこだわっていなかったと思う。

――でも、世に出たものが結果的にヒット曲になったことで、自分自身が元々持っていた大衆性のようなものが、ちゃんと世間に対して有効に届くものなんだな、特殊なものじゃないんだな、ということに気付かされた部分もあったんじゃないかと思うんです。

森重:そうですね。逆に、ロック畑のなかにあって特殊なんだなと思いましたね、自分の資質というのが。むしろゴリゴリのロックの人たちの輪のなかにいた時のほうが俺としては違和感をおぼえざるを得なかったというか。ZIGGYの内部でもそれに近いところはあったかな。これは過去にも言ってきたことだけども、「GLORIA」を作った時、ライブでやっている段階では他のメンバーたちからの反発はなかったけど、いざあの曲をレコーディングするとなった段階では「ポップ過ぎるんじゃないか?」とかそういった声がそれなりに出て。当時はみんな若くて自我も強かったし、ヴォーカリストがポップでメロディのわかりやすい曲を作ってきたとなれば、それがバンドを代表するイメージになってしまい兼ねないというような恐れも抱いたんじゃないかな。やっぱりバンドをやっていると各々にあると思うんです。“こういうイメージで捉えられたら、のちのちマズいことになるんじゃないか?”という危機感みたいなものが。だからそれはそれで、ごく自然で素直な拒否反応だったと思う。

――海外のロックスターたちのインタビューでもよく目にしたものですよね。爆発的なヒット曲が出ると、レコード会社にその曲の第2弾みたいなのを作り続けることを強要され、バンドがおかしくなっていった、というような話を。

森重:そうそう(笑)。そういうのを求められていた部分も当然ありましたよ。それこそ他のアーティストから作曲依頼がある際に、「I'M GETTING' BLUE」みたいな曲が欲しい、と露骨に言われることもあるし。ただ、俺自身には「I'M GETTING' BLUE」みたいな曲はあれ1曲でいいと思っているところがあって。どんなにコード進行や構造が似ていようと、やっぱり「I'M GETTING' BLUE」はあの歌詞とメロディがあってこそ初めてあの曲として成立しているわけです。そこでちょっと器の感じが違っていたり、言葉のニュアンスが違っていたりすれば、まったく違う曲になると思うんです。だから正直、俺はそういうオファーに対しての対応が上手い人間ではない。そこで器用に順応してヒット曲を次々と書けるような人ではなかったんです。実際、それは自分のやってみたいことではなかったしね。曲を作ることというのは自分にとって、単にオタマジャクシを綺麗に並べることではないわけなので。