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日電産、地元合意へ交渉本格化 京都・向日進出方針

8/13(日) 17:00配信

京都新聞

 JR向日町駅の東側に広がる京都府向日市森本町の農地へ総合モーターメーカー日本電産(本社・京都市南区)が進出方針を固める中、地権者でつくる地元団体が合意形成に向けて8月から作業を本格化させる。進出に伴う税収増に期待をかける向日市は側面支援の体制を強化する意向。同社は3年後の稼働開始計画を掲げており、この1年の交渉の進展が成否の鍵を握りそうだ。
 進出方針が示された農地で専業農家の男性が汗をぬぐった。「時代の流れ。協調して進めていかないとな…」
 少量多品目で農家経営を続けているが、先細りは目に見えているという。進出に伴う農地再編で規模縮小は免れないと考えており、先祖代々の土地で重ねた試行錯誤は終わる。
 安心したのと残念な気持ちが入り交じる中、「土地の買い取り価格にはシビアに目を向ける」と語った。
 地元では、地権者らでつくる「森本東部地区まちづくり協議会」が意向調査などを進めてきた。8月上旬に総会を開き、開発用地へ転用する地区計画案の策定に向け、法的要件を満たすための組織改編を行う。
 同協議会には対象地(約12ヘクタール)の全地権者62人の3分の2以上が参加しており、今後、価格など条件について同社と実質的な交渉をしていく。農地集約によってできた土地を開発用地として売却する割り振りを決めていく。
 同協議会によると、現時点で5~6ヘクタールに売却意向があるが、価格次第で変動する可能性もあり、買い取り価格の提示を既に同社へ依頼した、という。
 同協議会の清水陽一会長(68)は、この先、同社と土地売却に関して一定の合意を得た上で「できるだけ2017年度内に地区計画案を完成させて市へ提案できるよう努力する」と話す。地権者は後継者難の兼業農家だけでなく、農地相続で納税猶予されていたり、専業農家だったりと事情はばらばら。「どう折り合いを付けられるか。地権者間の話し合いを密にし、総意をつくることが求められる」
 向日市は、土地売却を円滑に進めるために、地権者と同社の橋渡し役として交渉を下支えする人員を強化する方針。税制面など行政手続きに疑問を抱える地権者へ説明の場も設けるとしており、市幹部は「17年度を一定のリミットとして、短期間で話を詰めていく必要がある」とする。


◆「出身地へ恩返ししたい」 日本電産・永守重信社長インタビュー

 向日市への進出について、日本電産の永守重信社長は「出身地へ恩返ししたい。最優先に考える」とした。
      ◇ 
 各地から非常に好条件の誘致を受けているが、向日市が最優先。JR向日町駅から本社までの間で、売ってくれる土地は全部買いたい。過去最大規模のプロジェクトになる。
 ただ、地元から歓迎してもらえることが条件。あくまで現在の時価で土地を買えさえすれば、すぐに取りかかる。時間は掛けられない。採算が取れないなら買わない。他の所へ行かざるを得ない。
 市には企業が少なく、財政を悪化させている。進出で市には固定資産税など何億円もの税金が入るだろう。何千人もが働く場所になり、地元の若者に雇用が生まれる。
 市には、向日町駅の東口を開けてもらわないと。駅ビルを建てるなら協力する。本社分室を置くなどさまざまな方法が考えられる。
 進出が実現すれば、市で一番税金を払う会社になる。上げた利益の一部を地元へ返す。これまでもそうしてきたように、いろいろな施設を個人として寄付することもできる。

最終更新:8/13(日) 17:00
京都新聞