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経済損失1兆円 “見本市会場”東京五輪使用は世界の非常識

8/13(日) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 このまま開催して大丈夫なのか。「東京ビッグサイト」(有明)が、2020年東京五輪でメディアセンターとして使用されることで、多くの企業が出展する「見本市」が最大20カ月間も開催できなくなる問題。日本展示会協会の試算によると、経済損失は1兆円超というから驚きだが、そもそも、見本市会場を五輪施設に使うという発想自体が、世界の“非常識”なのである。

 見本市とは、家具や眼鏡、自動車部品といったあらゆるジャンルの企業の出合いの場。ビッグサイトでは年間302回開催され、来場者は1469万人にも上る。広告に費用を回せない中小零細企業にとって、自社製品をアピールする重要な場となっている。

 そんな貴重な商談の機会を潰さないよう、五輪開催都市は、慎重に会場を選定してきた。08年北京や12年ロンドン、16年リオ大会では、メディアセンターとしてはもちろん、競技施設に見本市会場を使用することは一切なかった。

 招致が内定した24年パリ、28年ロサンゼルス大会も、見本市を極力潰さないよう配慮し、会場を選んでいる。2国の立候補ファイルによると、パリもロサンゼルスも、一部の競技施設として見本市会場を使用する予定だが、フランス国内にある全ての見本市会場の総面積は、日本の約6倍に上る。米国内は同約20倍だから、「代替会場はいくらでもある」(業界関係者)という。五輪会場の運営に詳しい「国際メディアサービスシステム研究所」の廣谷徹代表はこう言う。

「北京大会では、新設した競技会場を大会後に見本市などの会場として後利用しています。また、ロンドン大会では、産業革命時代の工場跡地で、重金属などの汚染が残る土地を浄化し、メディアセンターを新設しました。大会後に大規模な都市開発を行い、今や、ショッピングセンターや公園などを備えたニュータウンになっています。大会期間中は世界中から多くの人が集まり、見本市を利用する企業にとっても大きなビジネスチャンスです。各国はそれが分かっているから、見本市会場を潰すような会場選定はしないし、後利用についても精緻な計画を立てるのです。それに比べて東京は何も考えずに会場を選んだようにしか見えません」

 東京五輪開催まで3年を切った。立ち止まって考えるべきではないか。