ここから本文です

<世界陸上>ボルト劇場、突然の幕切れ「ファンに無限の愛」

8/13(日) 10:11配信

毎日新聞

 5連覇を目指し、英国と米国を追いかける位置でバトンを受け取ったボルトは一気に加速した。しかし、30メートルほど走ったところで走りが乱れ。苦しげに顔をゆがめた。右足だけで少しずつ進むが途中でバトンを投げ捨て倒れ込む。長年、世界中を魅了してきたボルト劇場の終わりは唐突に訪れた。

【写真特集】日本銅! ボルトは…衝撃のレースを多数の写真で

 地元・英国がトップでフィニッシュへ向かうハイライトの瞬間ながら、観客席の視線はトラックで横になって頭を抱えるスターに集中。悲鳴が響き、多くのファンも頭を抱えた。

 1週間前の男子100メートル決勝では3位に終わった後もグラウンドに最後まで残り、観客を喜ばせたボルト。しかし希代のエンターテイナーにとっても、最後の走りが予想外の結果で終わったショックは大きかった。仲間に支えられながら立ち上がり、観客へ手を振ったが再び顔をゆがめて、左足を引きずりながらトラックを後にした。ジャマイカのチームドクターは「左太もも裏より、負けた失望による痛みの方が大きい」と心情を代弁した。

 ボルトは、2008年北京五輪から昨年のリオデジャネイロ五輪まで、3度の五輪と4度の世界選手権で100メートル、200メートル、400メートルリレーの3種目に出続けた。敗れたのは、フライングを犯して失格し走れなかった11年世界選手権の100メートル決勝のみ。速く、かつタフな選手だったから、前人未到の連覇を積み重ねてこられた。

 若い頃は脊柱(せきちゅう)側湾症の影響で太もも裏の故障が多く、初出場した05年世界選手権も200メートル決勝のレース途中で走れなくなり、8位に沈んだ。その後、猛烈なトレーニングで克服して結果を残し続けてきた。だが今月21日で31歳。衰えは隠せない。今大会も体力面の不安から200メートルを回避した。

 それでも、ボルトの価値に変わりはない。ライバルで今大会100メートル覇者のジャスティン・ガトリン(米国)は「彼はまだ世界で最高だ」とたたえ、同僚のオマール・マクレオドは「ボルトの名は永遠に残り続ける」と感謝した。

 レース後、自身のフェイスブックに「ありがとう私の友たちよ。ファンに無限の愛を」と記した。有終の美よりも強烈な印象を残すラストラン。それも、ボルトらしい終わり方だった。【小林悠太】

最終更新:8/13(日) 22:41
毎日新聞