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2017年夏版:高音質Bluetoothスピーカー6モデル試聴(前)

8/13(日) 11:30配信

Stereo Sound ONLINE

 今回ピックアップするのは、Bluetoothスピーカー6モデル。いまや2千~3千円台からフツーに買えてしまうBluetoothスピーカーだが、ここ数年の全体的なクォリティの底上げには目を見張るものがある。

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 ここでは、1万円台のボリュウムゾーンにある人気モデルから7万円前後の高級機と言っていいモデルまで6モデルを選出。自宅リビングに持ち込み、価格の安い順に音質重視の比較テストを実施。iPhoneのSpotifyアプリをおもなソースとして、どれぐらい音楽を楽しく、かつシリアスに鳴らしてくれるかを聴き比べてみた。



■モデル1

House of Marley
RIDDIM BT
1万4990円(税別)

【プロフィール】
 House of Marley(ハウス・オブ・マーリー)は、今年2月に日本に上陸したばかりのブランドで(正確には再上陸)、Bluetoothスピーカーのほかヘッドホンやイヤホン、ターンテーブルなどもラインナップしている。

 ボブ・マーリーの息子、ローハン・マーリーが製品のプロデュースとブランドのアンバサダーを担当しており、FSC(森林管理協議会)認証材や竹、再利用のアルミニウムやプラスチック、ファブリックを取り入れてエコロジー的な視点で商品づくりを行なっているのが特徴だ。

 BluetoothスピーカーはこのRIDDIM BTのほか、上位モデルにあたるGET TOGETHER MINIとタンブラー型の防水&防塵モデルCHANT SPORT、コーヒーカップほどの大きさの耐水モデルCHANT MINIが用意されている。

【インプレッション】
 ブランドの出自から、低音ブーストぎみのアウトドア~パーティ向きの音をイメージしていたのだが、帯域バランスは意外なほどフラット。音調もクールすぎずウォームすぎず、ちょうどいい。ボブ・マーリー由来だからレゲエ向き、なんてことはなく、多様なジャンルの音楽を分け隔てなく楽しむことができるスピーカーだ。

 高域はすっきりと見通しがよく、中域はヴォーカルをつややかに、生き生きと浮かび上がらせる。低域は比較的スリムながら上質で、安価なBluetoothスピーカーにありがちな濁りがなく、音楽がより“近く“に感じられる。

 コーネリアス「あなたがいるなら」では、左右に幅広くレイアウトされた細かな音のピースをぎゅっと凝縮して聴かせる。この曲が持つ独特のステレオイメージを一体型のBluetoothスピーカーで真剣に聴こうというのはちょっと意地悪かもしれないが、肝であるヴォーカルとギターソロの音像にしっかりとした厚みがあるので、楽曲の世界観が損なわれるようなことはない。
 開放的なリビングや屋外で聴くよりは、デスクトップなどの近接リスニングの方が、このスピーカー本来の魅力を楽しめるはずだ。もし広いスペースで聴いていて低音に物足りなさを感じる場合は、背面のパッシブラジエーターを壁面に近づけることで、ある程度解消することができるだろう(公表されていないが、2基のパッシブラジエーターは前面と背面の中央に1基ずつ配置されているようだ)。
 
【音の傾向】
広がり感   ★★★☆☆
高域の繊細さ ★★★★☆
中域の濃密さ ★★★★☆
低域の迫力  ★★★☆☆
聴きやすさ  ★★★☆☆



■モデル2

SONY
SRS-XB30
1万8380円(税別)

【プロフィール】
 Bluetoothスピーカーのジャンルで、質・量ともに高い人気をキープしている国内ブランドといえばソニーだ。独自のハイレゾオーディオ伝送技術「LDAC」に対応したSRS-X99(7万1880円、税別)を最上級モデルとして、形状も価格もさまざまな10モデルあまりをラインナップしている。

 その中にあってSRS-XB30は、重低音・防水・ロングバッテリーを三本柱としたアウトドア&タフユース向きのモデル。JBLのロングセラー、CHARGE3あたりとユーザー層が重なりそうな仕様で、フロントバッフル面を縁取るラインライトや本体両端のストロボが曲調によって光るLEDライティング機能も搭載する(スマホアプリ「Music Center」で調整可)。

【インプレッション】
 同じくソニーの人気モデル、h.ear go(SRS-HG1)はナチュラルでウェルバランス、ややクール傾向のサウンドだが、それに比べるとこのSRS-XB30はドンシャリでウォーム寄り。低域を強化する「EXTRA BASS」機能をオンにしなくても、リビングのテーブルにポンと置くだけで十分に迫力のある重低音を楽しめる。
 コーネリアス「あなたがいるなら」のイントロのキックドラムは低いところまで深々と沈み込み、細かな音粒が複雑に飛び交う楽曲に安定感をもたらしている。ただ、商品コンセプトからしてアッパーなEDMなどを聴く人に向けられたモデルであることは間違いなく、やはり四つ打ちのダンスミュージックとの相性が抜群にいい。

 SpotifyでEDM系のプレイリストをかけっぱなしにしていると、曲調に同期するライティングの視覚効果も相まって、おのずとテンションがアガる。ファットで華やかなシンセベースの音色もよく映える。

 打ち込み系ならこのXB30や上位モデルのSRS-XB40、アコースティック系ならh.ear go。パーソナルに使うよりは、やはりパーティ的な場面でその持ち味を最大限に発揮する一台と言えそうだ。

【音の傾向】
広がり感   ★★★☆☆
高域の繊細さ ★★★★☆
中域の濃密さ ★★☆☆☆
低域の迫力  ★★★★★
聴きやすさ  ★★☆☆☆



■モデル3

Marshall
STOCKWELL
¥29,700(税別)

【プロフィール】
 言わずと知れたギターアンプのマーシャルである。ギターアンプを思わせるデザインのBluetoothスピーカーは他にもあって、ローランドからは同社のJazz Chorusを模したJC-01が、フェンダーからも’68 Customアンプを思わせるMONTEREYなどが発売されている。
 このSTOCKWELLは、マーシャルのBluetoothスピーカーとしてはエントリーモデルにあたり、14mmという薄さが大きな特徴。「BASS」と「TREBLE」のトーンコントロール用ツマミを装備し、アナログでのイコライジングが可能だ。
 本物のギターとアンプを接続するようなカール式のケーブルも別売ながら用意されており、スマホと本機をワイヤードで接続することができる。その徹底したミニチュア感覚はマーシャル・ユーザーならずともたまらないはず。

【インプレッション】
 以前、ローランドのJC-01を聴いた時にもその本格的なサウンドにかなり驚いたのだが、このSTOCKWELLもBluetoothスピーカーとしては大マジメに作られている。形状から見ると、前方に2基のパッシブラジエーターが配置されているようで、14mmという薄さを感じさせない厚みのある再生音を聴かせてくれる。

 前のソニーSRS-XB30がドンシャリ型だったのに対して、こちらはカマボコ型の傾向。中域のエネルギー感がすべて、と言いたくなるほど、コーネリアスのヴォーカルやギターソロの温かい再現性がとにかく魅力的だ。バスドラムなどに付帯するちょっとした歪み感は、トーンコントロールを使うことで軽減できるが、本機をチョイスする人ならそれを“持ち味”としてポジティブに楽しめるだろう。ギターの音色を作るような感覚で、積極的にトーンコントロールを活用したい。

 静かなアコースティック系の音楽を聴く際にはもう少しクリアーさが欲しいと感じるものの、空間の広がり感は悪くない。ステレオイメージの再現力は前の2モデルよりも高く、なおかつ距離によってもその印象が大きく変わることがないので、書斎からリビングまで幅広い使い方ができそうだ。

【音の傾向】
広がり感   ★★★★☆
高域の繊細さ ★★★☆☆
中域の濃密さ ★★★★★
低域の迫力  ★★★☆☆
聴きやすさ  ★★★★☆


(後編、BOSE / vifa / B&O Playに続く)

【伊藤隆剛(いとうりゅうごう)】
広く深い音楽の知識だけでなく、オーディオ面でのこだわりにも定評のあるマルチライター。『HiVi』編集部時代に多くの経験を積み、オーディオの魔力に開眼

Stereo Sound ONLINE / 伊藤隆剛

最終更新:8/13(日) 11:30
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