ここから本文です

ミサイル発射で挑発合戦、アメリカの北朝鮮攻撃は近いのか?

8/14(月) 12:50配信

THE PAGE

 北朝鮮とアメリカが弾道ミサイル発射をめぐり、挑発の応酬を繰り広げています。米領グアム島周辺にミサイル4発の発射計画を公表した北朝鮮に対し、アメリカのトランプ大統領はツイッターで「軍事的解決の準備は万全だ」と投稿するなど、軍事的措置の可能性をちらつかせています。北朝鮮は7月に2発の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。両者の緊迫は再び高まっているようにもみえますが、アメリカの北朝鮮攻撃の可能性をどう見るか。元航空自衛隊幹部の数多久遠氏に寄稿してもらいました。

【写真】緊迫する北朝鮮情勢(上)アメリカはどこまで「本気」なのか?

         ◇
 北朝鮮がグアム沖へのミサイル発射の検討を表明し、これに反応する形で、トランプ大統領が報復攻撃を示唆しました。小野寺防衛相が、自衛隊部隊を展開させるなど危機の可能性が一気に高まったように見えます。ニューヨークの株式も下落し、すわ米朝軍事衝突とも噂されています。

 4月にも「緊迫する北朝鮮情勢(上)アメリカはどこまで『本気』なのか?」と題した寄稿しました。今回は、武力衝突に至ることはないとした前回記事の時と比較し、何が変わり、何が変わっていないのかを、主に軍事の観点から概観し、北朝鮮によるグアム攻撃及びその後の情勢について、考察してみたいと思います。

現状、放たれた“実弾”は経済制裁のみ

 現在の情勢緊迫は、7月に2度に渡って行われた北朝鮮によるICBM発射が契機となっています。

 トランプ大統領のアメリカは、勇ましい発言は行いつつも、あくまで交渉により北朝鮮の核ミサイル開発の鈍化、最終的には開発の放棄を狙っていることは、前回の記事でも書きました。

 それに対する、北朝鮮の答えが、ICBMの発射でした。

 トランプ大統領とすれば、顔に泥を投げ付けられたというところですが、情勢の緊迫化は、単にトランプ大統領が恥をかかされたことに怒っているという状況な訳ではありません。

 北朝鮮によるICBM発射後、トランプ大統領本人だけでなく、マティス国防長官などの米政府高官も、これを非難する強い言葉を発していますが、今までに言葉だけではない“実弾”として撃たれたのは、8月6日に行われた国連による制裁決議だけです。トランプ大統領は「冷静に」圧力を強めているのです。

 この制裁決議は、以前のものと比較すると、かなり強力な制裁です。北朝鮮からの輸出総額の3分の1を禁止させる内容になっています。しかし、戦前の日本を太平洋戦争に突き進ませたような「石油の禁輸」は含まれておらず、北朝鮮とすれば苦しいものの、死活的な制裁決議ではありません。

 また、決議には中国、ロシアも賛成したものの、両国ともに北朝鮮がアメリカに屈することは望んでいません。そのため、この決議の実効性にも疑問符が付きます。北朝鮮と国境を接するこの2か国は、隠れて制裁違反を行うことは容易だからです。トランプ大統領は、このうち特に中国の制裁破りには苛立ちを募らせているといわれます。

 この制裁に対し、北朝鮮がとった反撃が、グアムに対する攻撃計画の発表です。そして、それを受け、トランプ大統領が行っているのが、瀬戸際外交と言われる北朝鮮のお株を奪うかのような強硬発言です。

1/4ページ

最終更新:8/21(月) 5:49
THE PAGE