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即席麺で世界の胃袋満たす 特許300件超 製麺機器トップの富士製作所

8/14(月) 9:30配信

産経新聞

 カップラーメンをはじめとした即席麺は世界中で親しまれ、今や“日本食”の一角といえる。その製麺機器で、トップシェアを誇るのが「冨士製作所」(群馬県藤岡市)だ。

 従業員は94人(3月1日現在)と、大きな企業ではない。創業以来の挑戦する姿勢で業界トップに上り詰め、陰ながら世界の胃袋を満たしている。売上高は30億円を下らない水準にあり、現在の世界シェアは推計で50%を誇る。

 即席麺はカップ麺と袋麺に大別され、フライ麺と油で揚げないノンフライ麺の2種-つまり、4通りの組み合わせがある。これら全てに対応した製造ラインの開発、製作ができるのは世界を見渡しても同社だけだ。平成26年3月には、独自性に加え、世界シェアと利益の両立などが評価され、経済産業省から表彰された。

 匠の技で、新技術も多く開発してきた。例えば、ノンフライ麺を乾燥させるために50~60分かかっていたところ、10分の1の5~6分にまで短縮できた。これまで取得した特許も300件を下らないという。

 取引先は菓子メーカーも含め、国内三十数社。少なくとも約1億円の製麺ラインは世界48カ国で稼働し、ラインにして約900台に上る。

 「簡単にNOと言わない」。完全受注生産を貫く同社のモットーだ。3代目の櫻澤誠社長(53)は「むちゃぶりにも応じてきた結果、今がある」と笑う。

 ルーツは戦後間もない昭和21年、櫻澤社長の祖父、志磨雄氏が創業した「櫻澤製作所」(高崎市)だ。出征先の南方から引き揚げ、配電盤などを製造する会社を興した。即席麺の黎明期に、食品問屋を営み即席麺の製造にチャレンジしようとしていた戦友から、「手間がかかり、過酷な作業の麺を油で揚げる作業工程を自動化できないか」と相談を受け、志磨雄氏は38年、「コンベヤー式フライヤー」の開発に成功。徐々にそれが広まり今日に至る。

 即席麺は既に世界各国で製造され、残る有望な市場は「勢いのあるアフリカ、中東、東欧が挙げられる」(櫻澤社長)という。

 国内では少子高齢化が進み、おのずと消費量は減っていく。

 打開策は「ニーズの少し先へいって提案すること」(櫻澤社長)。あくまでこつこつ、堅実にさらなる高みを目指す。

 (前橋支局 吉原実、写真も)

 ■きめ細かい仕事がセールスポイントである同社は輸出後のケアとフォローにも余念がない。現地に2週間程度泊まり、機器の立ち上げや指導を行う。製造部の大ベテラン、小内誠一さん(62)はこれまで数十カ国に足を運んだという。選抜された社員が派遣されるため、「責任重大だが、幸せなことです」と語った。

最終更新:8/14(月) 9:30
産経新聞