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欧州13カ国 非GM大豆振興へ 宣言署名 タンパク質源 自給

8/14(月) 7:00配信

日本農業新聞

 タンパク質源は外国に頼らず自分たちで作ろう――。欧州13カ国の農相は、域内の大豆生産振興を盛り込んだ欧州大豆宣言に署名した。輪作を奨励して生物多様性と農地を健全に保つと同時に、消費者の需要の高まりから拡大する非遺伝子組み換え(GM)市場を後押しする狙いだ。

輪作奨励、農地健全に

 宣言に署名したのはオーストリア、フランス、ドイツ、ハンガリー、オランダ、ポーランド、スロバキアなど。英国やスペインなどは参加していない。

 ヒマワリやナタネに比べ、欧州で大豆のなじみは薄い。しかし宣言は西欧はもちろん、中東欧で、大豆が、小麦やトウモロコシなど主要作物の一つとして拡大できるとして地域や国家レベルで取り組むことを7月の会合で決めた。

 今後、ウクライナやセルビアなど、欧州連合(EU)加盟国以外にも署名、協力を呼び掛ける。宣言を主導したハンガリー政府は「中長期的に大豆の輸入依存を変えていく」との声明を発表した。欧州全域で大豆増産の機運を高める考えだ。

 欧州は全体で年間3000万トンの大豆・大豆ミールを輸入し、飼料原料などに回している。大豆増産で地域のタンパク質源の自給を高める効果が期待できるとしている。輸入を減らすことで、森林破壊などにつながる海外の無理な生産拡大に歯止めをかけられるとも説明する。

 欧州の大豆ミールの自給率は2割にすぎない。輸入の大半は既に利用を認めているGM大豆が原料だ。主要な大豆輸出国では、既にGM比率が9割以上。一方で消費者の間には、食用、飼料用とも非GM大豆を求める声が出ているという。

 宣言は「署名国は消費者が非GM食品と飼料に関して選択肢が増えるようにする」ことを盛り込んだ。今回の大豆振興が消費者の要望に沿ったものだと強調する。

 欧州内では既に、域内産大豆の需要拡大に向けた取り組みが始まっている。ドナウ川流域で「ドナウ大豆」という地域限定のブランドづくりはその一つ。非GMなどを定めた栽培基準を守った大豆を対象にラベルの利用を認める。一定量を飼料に混ぜて育てた畜産物もラベルを使うことができる。食用、飼料用の両面から域内大豆の振興を進める方針だ。

 欧州での「自給率向上」に懸念を強めるのは米国やブラジルなど大豆輸出国だ。署名国の一つオランダの場合、大豆と大豆ミールを合わせて700万トン以上を輸入し、中国に次ぐ世界第2位の輸入大国。米農務省は最近まとめた海外情報報告で「拡大する非GM大豆、有機食品市場が、オランダの署名の背景にある」などと分析。欧州の大豆振興に関心を寄せている。

 ただ、欧州の農業側の足並みは必ずしもそろっていない。畜産飼料業界は自給に伴って原料コストの上昇を警戒する。同業界団体は宣言が署名される3日前、「大豆振興には賛成だが、慎重な対応が望まれる」との共同声明を発表した。有機農業団体などの間には「欧州になじみのない大豆増産は大規模生産者だけに恩恵がある」という批判もくすぶっている。(特別編集委員・山田優)

日本農業新聞

最終更新:8/14(月) 7:00
日本農業新聞