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「予測が難しい」線状降水帯、九州で多発 気象庁分析 研究途上

8/14(月) 8:01配信

西日本新聞

 九州豪雨で福岡、大分両県に甚大な被害をもたらす要因となった「線状降水帯」。気象庁による1995年から15年間の分析の結果、集中豪雨を発生させたケースは全国4エリアのうち、九州を中心とする南日本エリアが最も多かった。ただ、予測に関する研究はまだ途上。温暖化による激甚化も懸念されており、関係者は「空振りを恐れず、早め早めの避難を」と呼び掛ける。

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 線状降水帯は積乱雲が次々と増殖して帯状に連なる現象。通常は約1時間で衰弱する積乱雲が、連続発生し集積することで局地的豪雨になる。幅20~50キロ、長さ50~200キロにわたり、同じ場所に数時間停滞。2015年の関東・東北豪雨、14年の広島土砂災害、12年の九州北部豪雨などはビルが林立するように積乱雲が連なる「バックビルディング型」と呼ばれ、梅雨期の九州で発生しやすい。

南日本エリアは60例を占め、全国4エリアで最多

 「線状降水帯という言葉は近年使われ始めたが、実は昔からある現象。珍しいものではない」と話すのは福岡管区気象台の横光雅種主任予報官(54)。気象庁気象研究所が1995~2009年の4~11月の集中豪雨を分析したところ、台風を除く261例の64%に当たる168例は線状降水帯が原因と判明。南日本エリアは60例を占め、全国4エリアで最多だった。横光予報官によると、1980年代ごろは経験的に積乱雲が集まりやすい地域を「諫早ライン」「甑島(こしきしま)ライン」などと呼んでいたという。

 発生条件は(1)暖かく湿った空気が大気下層へ継続的に流入(2)空気塊が上昇しやすくなる高度まで、下層の暖かく湿った空気を持ち上げる山岳地形などがある(3)大気下層と中層の風向きと風速-が鍵。解明が進んだ部分もあるが、個々の事例分析にとどまるのが実情だ。気象庁気象研究所の津口裕茂研究官(38)は「大気下層の水蒸気に着目した観測技術の研究などを進めているが、発生時刻や場所、降雨量を予測できる段階には至っていない」。実際に九州豪雨では「9時間にわたって同じ場所で豪雨が続くのは予想外で、つらかった」(福岡管区気象台)との声も漏れる。

 九州大の川村隆一教授(気象学)は「特に降雨量の予測が難しい」と指摘する。線状降水帯の中で複雑に増殖する積乱雲一つ一つの動きを分析しなければならず、気象庁が使用する降雨量予測シミュレーションの精度を格段に上げる必要があるという。「次世代のスーパーコンピューターを導入しなければ計算は困難」

 温暖化の影響を懸念する声もある。福岡大の守田治客員教授(気象学)は「対流活動の活発化や供給される水蒸気量の増加によって、線状降水帯が強化されやすい環境となりつつある」と警鐘を鳴らす。

 雨雲の動きそのものは気象庁ホームページの「高解像度降水ナウキャスト」で現状把握ができる。福岡管区気象台は「小まめにチェックして、避難する心づもりをしてほしい」と活用を促している。

西日本新聞社

最終更新:8/14(月) 16:07
西日本新聞