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【ラグビー】 ホーム沈黙させるも、残るは悔しさのみ。逆転負けサクラフィフティーンの矜持。

8/14(月) 7:47配信

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン)

 4日前は立ち上がりの20分で崩れ、勝負は決した。
 何より悔しかったのは、自分たちのスタイルを僅かな時間しか示すことができなかったことだ。
 8月13日、女子ワールドカップの2日目。アイルランドは曇り空も、穏やかな天気に恵まれた。初戦でフランスに14-72と大敗した女子日本代表(サクラフィフティーン)はこの日、地元・アイルランドと対戦。大会プールマッチの舞台であるUCD(University College Dublin)の『ボウル』には地元ファンが大勢駆けつけた。
 紅白のジャージーは、そんな雰囲気の中でグリーンの集団に挑んだ。

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 前回と同様、キックオフレシーブから始まったサクラフィフティーン。フランス戦ではそのキャッチミスからいっきに先制点を奪われたが、今回は違った。LO三村亜生がきっちり確保して前進。ラックからSH津久井萌がパントを蹴り上げると、周囲がしっかりチェイス。圧力をかけた。その後のアイルランドの攻撃もダブルタックルで止め、一人ひとりが粘り強く相手に刺さり続けた。
 そしてチームに勢いを与えたのがスクラムだ。小さく、低く固まって緑のFWを押す。
 HO齊藤聖奈主将は言った。
「バインド。そしてシンク(低く)。やってきたことを徹底しました」
 ペナルティーを得る。何度でも押せた。スタジアムは静かになった。

 先制点は前半26分過ぎ。アイルランドのゴール前で得たPKでスクラムを選択。ペナルティートライをもぎ取る(7-0)。
 前半終了前にはふたたび、ゴール前でスクラム。今度はNO8鈴木彩夏が左サイドを突いた。その後、右展開。フェーズを重ね、最後はFB清水麻有が右中間に飛び込んだ。コンバージョンも決まり、14-0でハーフタイムに入った。
 主将が会心の前半を振り返った。
「前の試合が終わってから、毎日、毎日、試合の入りがよくなるように、やるべきことを繰り返し全員で確認してきました。そして、試合中も具体的に声を掛け合い続けた」

 思い通りの40分。
 しかしその後、サクラフィフティーンの得点は14点から増えなかった。
 動けなくなったわけではない。必死に前に出続けたし、プレッシャーをかけ続けた。ただ、一つひとつのプレーが少しずつクオリティーが落ちた。体格差はどうしようもなかった。重い当たりがジャブのようにきいた。
 SH津久井は感じた。
「後半、(接点での)ふたりめの寄りが少し遅くなった」
 アイルランドも前半を経て対応してきた。津久井のキックにプレッシャーをかける。スクラムに長けた選手も投入。ボールキャリアーへの絡みも執拗だった。
 高速フェーズアタックでトライラインに近づくも、攻め切れない。それが勝ち切れないことにつながった。

 後半5分。相手キックを処理したFB清水がキックチャージされる。そのボールは確保したが、その後のラックからのSH津久井のキックがまたもチャージに遭う。攻め込まれる。FWで前に出られ、最後はWTBアリソン・ミラーにインゴールへねじ込まれた(コンバージョンも決まり14-7と日本リード)。
 同点に追いつかれたのは後半24分だ。反則からPKでエリアをとられる。ラインアウトからモールを組んだグリーンの塊はインゴールまでボールを運んだ。コンバージョンも決まり14-14。
 後半32分にもノットリリース・ザ・ボールの反則から攻め込まれた。アイルランドFWを辛抱強く止め続けたがたまらず反則。PGを決められて14-17。そして、その後はミスもあってほとんどボールを手にできなかった。

 試合終了はスクラムからのアタックを4分近く攻められた後だった。それを守り続けたものの、最後はFLポーラ・フィッツパトリックに押さえられた。SOノラ・ステイプルトンのコンバージョンがゴールポストに当たりながらも成功。ホームチームが24-14と勝利を手にした瞬間、すっかり元気を取り戻したスタンドの声援は最高潮となった。

 齊藤主将は「最後まで動けました。でも、(後半40分の)トライを取られたときは全員出し切っていたと思います。3点リードされた後のラスト10分、必死に動き続けたので」と話し、「悔しい」と言葉を発した。
 有水剛志ヘッドコーチは選手たちの気持ちがよく分かっていた。
「自分たちがやってきたことが通じたとか、そういうことより、勝ちに来たのだから悔しい。それだけですよ。ワンステージあがったとは思いますが、みんなそう感じている」
 足りないところあったから勝利には届かなかった。しかし、代表チームのスピリットは感じた。