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小惑星に宇宙船をぶつけて地球を守るNASAの技術、設計フェーズへ

8/14(月) 12:11配信

ギズモード・ジャパン

核で迎撃よりはソフトな感じ。

太陽系には地球や火星のような惑星以外にも小さな惑星が無数にあり、そこから宇宙の歴史がたどれるなど、我々に夢と知見を与えてくれます。でも、それら小惑星たちは一歩間違えば地球にぶつかってくる可能性があるため、脅威でもあります。2013年にはアポロ小惑星群からはぐれた隕石がロシアに落下し、約1,500人が重軽傷を負っていますし、恐竜が絶滅したのも小惑星衝突の影響と言われています。

【画像】小惑星に宇宙船をぶつけて地球を守るNASAの技術、設計フェーズへ

そこでNASAでは、小惑星が地球に向かってきたら宇宙船を衝突させ、軌道修正させるという技術を研究しています。なんだか『アルマゲドン』みたいですが、この研究はもうさまざまな検討を経ていて、このたびコンセプト段階から晴れて設計段階へと進むことが発表されました。

このミッションは名付けてDART、「移動衝突機」(kinetic impactor)なる宇宙船を小惑星に衝突させ、元の軌道からほんのちょっと動かす実験を行います。DARTとはDouble Asteroid Redirection Test(直訳:二重小惑星進路変更テスト)の略ですが、「小惑星めがけて飛んでいく」ってことで「dart(ダーツ)」とかけてるんでしょうね。『アルマゲドン』では小惑星を核で破壊するというワイルドな技術が使われていましたが、DARTは破壊するんじゃなくて進路を変えるだけという、よりソフトな方法です。

とはいえ、小惑星の軌道を変えるなんて初めての試みになるはずなので、DARTの最初のターゲットは、比較的小さくて地球に衝突する危険性もないとされている小惑星・ディディモスです。ディディモスは直径約780mと約160mの双子の双子の星で、大きい方にディディモスA、小さい方にディディモスBという木で鼻をくくったような名前が付けられています。どちらも岩石でできていて、組成的にもサイズ的にも、地球に衝突しうる多くの小惑星と似ています。今の計画では、DARTは2024年にディディモスBの方に衝突することを目指しています。

「双子の小惑星は、このテストに最適な天然の実験場です」NASAのDARTプログラムサイエンティスト、Tom Statler氏はプレスリリースで語っています。「ディディモスBはディディモスAを周回しているため、衝突の影響がよりわかりやすくなっています。またそれは、この実験がふたつの小惑星全体の太陽のまわりを公転する軌道に影響しないことにもつながります」

DARTの宇宙船は冷蔵庫ほどの大きさで、自動ターゲティングシステムを使ってディディモスBに向かっていきます。その速度は秒速6kmと、銃弾の9倍にも及びます。

この衝突は肉眼でははっきり見えないそうですが、地球にある観測所からはディディモスBがディディモスAを周回する軌道の変化を確認できるはずです。ほんのちょっとの衝突でも軌道には影響があり、その変化は時間とともによりはっきりしてくるものと考えられています。

DARTは小惑星対策技術のあくまで第一歩で、この実験から得られるデータはその後の研究やミッションへと生かされていきます。たとえば、ひとつの小惑星を十分動かすためにどれくらいのサイズの移動衝突機を何機くらい、どれくらいの速度で衝突させればいいのか、といった知見が蓄積されていくはずです。

「DARTは、我々が将来の小惑星衝突から地球を守れることを示すための重要なステップです」とDARTの共同リーダーでジョンズホプキンス大学応用物理学会研究所のAndy Cheng氏は語ります。「小惑星の内部構造や組成についてよくわかっていないため、この実験は実在する小惑星に対して行う必要(注:モデルではなく)があります」

プロジェクトがコンセプト段階から設計段階に進んだからといって、このミッションが実行されるという保証はありません。でもNASAでは小惑星対策をリアルに進めていて、核で迎撃する可能性も含めて検討しています。小さいとはいえ、星ひとつを人工的に動かしたり壊したりして本当に大丈夫なのかとちょっと不安ですが、何かまずいことになったらそれはそれで考えようってことなんでしょうね、多分。

Image: NASA.gov Video / YouTube
Source: NASA, Johns Hopkins University, NASA.gov Video / YouTube

George Dvorsky - Gizmodo US[原文]

(福田ミホ)