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ゴールドマンが豪華クルーザーを手に入れた訳

8/14(月) 8:27配信

ウォール・ストリート・ジャーナル

 米金融大手ゴールドマン・サックス・グループは株式も債券も商品(コモディティー)も大量に保有している。こうしたポートフォリオに全長約66メートルの豪華クルーザー「ナティタ号」が加わった。

 事の発端は、ゴールドマンが2014年に重要顧客だった資産家のウィリアム・カロップ氏へローンを貸し付けたことだった。テキサス州出身のカロップ氏は、石油事業で財を成した人物。だが結局はゴールドマンが自らの顧客を提訴する羽目になり、映画館やジェットバス、ヘリパッドを備えたナティタ号は先月、米連邦保安官によって差し押さえられた。

 ゴールドマンがクルーザーを受け取ったのは奇妙だが、米金融業界にとっての最新のゴールドラッシュで不可避的に起こった。アンディ・ウォーホルの絵画からワインまであらゆる物を担保に富裕層顧客への貸し付けを行ってきた結果だ。

 ゴールドマンやモルガン・スタンレー、スイスのUBSグループなどが急速に増やしているこの種のローンは、資金の貸し付けという銀行の最も基本的な業務にひねりを加えたものだ。貴重な超富層が得意先になるよう関係を育む効果もある。

 だがあらゆるローンと同様、不良債権化する可能性はあり、金額の査定も売却も容易ではない担保だけが銀行に残されることもある。ナティタ号は既に2年近く売りに出されているが買い手がつかない。現在の売値は3990万ドル(約43億円)だが、ゴールドマンは競売にかける公算が大きい。

 ゴールドマンの広報担当者はこの件についてコメントを差し控えた。カロップ氏はコメントの要請に応えていない。カロップ氏の弁護士もコメントを控えた。

 ボストン・コンサルティング・グループのパートナーで、富裕層の資産運用戦略をプライベートバンクに助言するブルース・ホリー氏は「きちんと行えば素晴らしいビジネスで、顧客からひたすら気に入られるだろう」しながらも、「だが失敗することも多い」と続けた。

 銀行は近年、預金の増加と従来型ローンに対する低調な需要を背景に、富裕層向けの貸し付けを増やしてきた。ゴールドマンのプライベートバンク部門の貸付残高は2012年以降で4倍に拡大し、290億ドル(約3兆2000億円)に上っている。モルガン・スタンレーでは同様の貸付残高が同じ期間で420%増の740億ドルとなった。

 富裕層への貸し付けの多くは、購入する不動産に抵当権を設定したローンか株式担保ローンが占める。クラシックカーやヘッジファンドの株式、珍しいバイオリンなどの担保の割合は比較的小さいが、増加傾向にある。

By Liz Hoffman