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[ニュース分析]冷と熱を行き来するトランプの対北朝鮮発言、なぜ?

8/14(月) 8:42配信

ハンギョレ新聞

見えすいた脅し→交渉意志→見えすいた脅しの訳 米、対北朝鮮軍事行動準備の兆候はなし 専門家「緊張緩和のために緊張感の高揚」 ロシアスキャンダル捜査で窮地に追い込まれ 「関心そらし」国内政治も作用

 ドナルド・トランプ米大統領の対北朝鮮発言の強度が「炎と怒り」から「交渉」に至るまで両極を行き来している。戦略的布石とトランプ大統領特有の衝動的気質が入り乱れていると専門家たちは分析した。

 トランプ大統領は8日(現地時間)、ニュージャージー州ベッドミンスターのトランプ・ナショナルゴルフクラブで記者団と会い「北朝鮮はこれ以上米国を威嚇しない方が良い」としながら「北朝鮮が炎と怒りに直面することになるだろう」と見えすいた脅しの強度を急激に引き上げた。北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)に搭載できる小型核弾頭の開発に成功したという国防省報告書がマスコミに流出した直後だった。トランプ大統領の発言は「北朝鮮が威嚇すれば」という曖昧な前提を付けたという点から、米国が北朝鮮に対する軍事行動を断行するのではないかという戦争恐怖感を広めた。

 これに対抗して北朝鮮は、グアム周辺を攻撃するという脅しで正面対抗した。その翌日の10日、トランプ大統領は記者会見で「金正恩(キム・ジョンウン)がグアムに何かすれば、今まで目にしたこともない事態が北朝鮮で起きるだろう」と警告した。「グアム包囲射撃」検討を中止せよと具体的に要求し、防御的性格が強かったという点で「炎と怒り」発言に比べれば威嚇の強度が多少低くなった。また、彼は同じ記者会見で「私たちは常に交渉を考慮する。(交渉する)時になった。誰かがしなければならない」として、交渉に対する強い意志も明らかにした。

 だが、トランプ大統領はその翌朝にツイッターを通じて「北朝鮮が賢明に行動しないならば、軍事的解決法が完全に準備されていて、装填された」と述べた。「軍事的解決法」という危険な単語を持ち出して、北朝鮮に対する攻勢の強度を再び引き上げた。

 同日午後、国家安保会議の後に開いた記者会見では、基調を再び変えた。彼は「私ほど平和的解決法を好む人はいない。希望を持って(対北朝鮮問題を)見ているが、すべてがうまくいくだろう」と話した。

 特に「外交的解決法」を強調してきたレックス・ティラーソン国務長官を記者会見場に同行させたこと自体がメッセージであった。彼は「私とティラーソン長官は同じ立場」とし、ティラーソン長官に力を与えた。ティラーソン長官が「トランプ大統領は外交的解決法を好むという点を明確にしてきた」としたことに文句はつけなかった。

 おりしも米国務省のジョセフ・ユン対北朝鮮政策特別代表と国連駐在北朝鮮代表部のパク・ソンイル米国担当大使が、数カ月にわたり定期的に接触し、朝米関係の改善と北朝鮮抑留米国人の送還問題を議論しているとAP通信が11日報道した。

 実際、時間の経過と共にトランプ大統領の好戦的発言にもかかわらず、一線部署に対北朝鮮軍事行動を準備する兆候がないことが順次明らかになっている。外交消息筋は「ホワイトハウスのハーバート・マクマスター国家安保補佐官が11日、チョン・ウィヨン国家安保室長との通話で『軍事行動のようなものは準備していない』という点を確認した」と伝えた。ワシントンポストも米国防総省と軍は相対的に平穏な状態を維持していると伝えた。

 こうした理由からトランプ大統領の対北朝鮮強硬発言は「時間的圧迫にともなういらだちと心理戦的な性格が複合的に作用したもの」と複数の外交消息筋が12日(現地時間)伝えた。北朝鮮の核弾頭小型化の開発完成やICBM来年配備の可能性に関連した内部情報評価が出てきて、トランプ大統領が北朝鮮核問題で早く成果を出さなければならないという強迫観念に追われているということだ。

 これに伴いトランプ大統領は、北朝鮮を強く圧迫しなければならないという「本能的戦略」に依存しているように見える。彼は不動産事業をして有利な交渉を展開させるために、相手方を極端に追い詰める戦略を好んで駆使した。このことは大統領就任後、外交問題で「緊張緩和のために緊張を高めさせる」態度に一貫して現れている。

 ニューヨークタイムズも12日「トランプ大統領が自身の直接的な発言と関連して、周辺の人々に『北朝鮮が米本土を攻撃できる核搭載ミサイルを完成する前に危機を助長して、金正恩を交渉の場に引きだそうとする意図』と話した」と伝えた。国家安保会議が終わった後になされた発言は、側近の引き止めのせいか、多少精製されているのも特徴だ。

 米国内の政治的要素も無視することはできない。側近に対する「ロシアスキャンダル」捜査で政治的苦境に立たされたトランプ大統領は、マスコミの関心を逸らすために攻撃の種を探している。彼の立場から見れば「好戦的レトリック」を放つ北朝鮮は、言葉の爆弾を浴びせられる良い攻撃素材ということができる。また対北朝鮮発言は、支持者に対してバカンス地でも大統領職を熱心に遂行していることを見せるジェスチャーでもある。

 トランプ大統領のこうした戦法に対する評価は交錯している。スコット・スナイダー米外交協会専任研究員は、ニューヨークタイムズに「金正恩が肯定的に反応するならば、トランプ大統領は彼の最も良い友人になりうる」と明らかにした。一方、米民主党の重鎮であるダイアン・ファインスタイン上院議員は「金正恩のさらなら攻撃的対応を促進するだろう」と憂慮した。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:8/14(月) 8:42
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