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社説[児童扶養手当]支給頻度上げ安定図れ

8/16(水) 18:05配信

沖縄タイムス

 厚生労働省が児童扶養手当の「まとめ支給」の見直しを進めている。

 ひとり親家庭の「命綱」ともいわれる手当の支給回数を増やすことは、苦しい家計の安定を助ける。さらに踏み込んで毎月支給へと舵(かじ)を切るべきだ。 

 所得の低い母子家庭や父子家庭を対象とする児童扶養手当は、全国で100万を超える世帯が受給している。

 児童1人の場合、最大月額4万2290円、2人目9990円、3人目以降5990円。支給は年3回で、4、8、12月に4カ月分をまとめて受け取る仕組みである。

 このまとめ支給に対し「やりくりが難しい」との声が上がり、厚労省が2カ月ごとにする検討を始めた。自治体のシステムを改修し、2019年度にも開始したい考えだ。

 支給総額に変わりはなく計画的に使えばいいだけ、との厳しい意見もあるかもしれない。でもちょっと考えてみてほしい。もしあなたの給料が4カ月に1度だったら…。

 人間誰しも目先の利益を優先しがちで、貯金に回そうと思っていたのに欲しいものが我慢できなくてというのはよくあることだ。特にギリギリで生活している人ほど、目の前の支払いに追われ、将来を考える余裕がない。

 例えば手当を支給された月に出費がかさむと、翌月以降の家計が苦しくなり、家賃を滞納したり、借金をしたりするケースがある。

 収入の波を小さくすれば、家計管理は今よりずっと楽になる。

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 住民に近い基礎自治体の中には、実質的な毎月支給に踏み込む動きも出ている。

 児童扶養手当の年3回支給は法による規定で、自治体が独自に回数を増やすことはできない。そのため兵庫県明石市では手当と同額を毎月貸し付け、まとめ支給に合わせて返金してもらう取り組みを始めた。

 泉房穂市長は昨年夏の本紙インタビューで「4カ月に1回というのは単に行政の利便性の問題。子どもの利益を優先させるのは当たり前だ」と語っている。

 支給回数を増やすと自治体の事務負担が重くなるとの指摘がある。毎年8月に出される現況届の審査に時間がかかり体制の確保が難しいという声ももれる。

 しかし生活保護費は毎月支給され、年金は2カ月ごとである。児童扶養手当の支給頻度を上げられない理由が見当たらない。

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 支給の在り方を巡っては、小中学生に学用品代などを補助する就学援助に組み込まれる入学準備金の支給時期も課題となっている。

 ランドセルや制服など本来入学前に必要なものをそろえるための準備金だが、支給は入学後という自治体が多いのだ。

 経済的に困窮する家庭を支える制度であり、立て替えが難しい世帯も多い。

 行政の仕事はただ支給すればいいというものではないはずだ。どうすれば対象者が困らず、有効に活用されるのか。実態に即した制度改善を求めたい。

最終更新:8/16(水) 18:05
沖縄タイムス