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「世界は、ほんのちょっとなら変えられる」チームラボ・猪子寿之代表に聞く!光と音楽で紡ぐ“境界の曖昧なアート“とは

8/19(土) 8:00配信

AbemaTIMES

(C)AbemaTV

 自由に動き回る光と、美しい照明。思わず見とれてしまうほどの幻想的な世界。今、多くの人を魅了するイベントを手掛けているのは、様々なスペシャリストから構成されるウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」だ。彼らが今回手掛けたのは、渋谷ヒカリエの開業5周年プロジェクトの目玉イベント「バイトルPresentsチームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地」。

 AbemaTV『AbemaPrime』では、「チームラボ」が誇る最先端のアート、そして光に込めたこだわりに迫った。

 入り口を入ってすぐの部屋の壁に映し出されているのは、プロジェクションによる動物や植物たち。奥行きがあるように見え、触れると色が変わるなど、インタラクティブなアート作品「生命は闇の中の呼応する光」だ。そしてメインイベントは“音楽フェス「チームラボジャングル」“だ。大量の照明装置が設置され、ステージのない部屋で突然美しい光とノリの良い音によるアートが始まった。光が重なり合うことで、あたかも形あるモノのような空間を生み、浮いているような感覚に陥るという。

 さらに光に触れると音が鳴り、色が変わるプログラムもある。代表の猪子寿之さんは「センサーみたいなものがついていて、光に触れると光が跳ねて音が鳴る。みんなが触ることで、いろんな音が重なっていってやがて音楽になっていく」と説明するとおり、まさに観客自身がアーティストだ。参加者が光に触れ生まれる音楽は唯一無二の演奏だ。「僕らは『参加没入型ミュージックフェスティバル』と呼んでいる」と猪子さん。

 「新しい形の音楽のフェスティバルができたら良いなと思って作っている。普通アートを楽しむ時は、美術館で一人で静かにという感じだけど、身体を解放して踊りながらアートを身体で体験する。身体でアートを知覚する。そういう体験をしてもらいたい」。

 なぜ猪子さんは光にこだわったのか。鑑賞する“人“と鑑賞される“モノ“という境界線を無くすことができるからだと猪子さんは言う。

 「例えば鉄で彫刻を作るとアートの中には入れない。当たり前だけどぶつかる。でも光の線でアートを作れば、その中に入れる。体ごと没入できて、その体験を通して自分の体と世界の境界を無くしていきたいなと考えている。人々は境界を作りすぎているから」「世界の全ては絶対に変えられないし、全ては解決できないが、ほんのちょっとだけなら変えられる。そういう体験をもっとしてもらいたいなと思っている。共に世界を変えていくんだという体験をしてもらいたいなという思いがある」。

 今回の音楽の半分ほどを制作したのは、スタジオジブリやUSJともコラボし、海外アーティストにも楽曲提供を行なっているDJのDAISHI DANCEさん。「スタッフさんがすごく楽しんでいるのが伝わる。僕も結構細かい方だが、夜中の4時とか5時までも、ずっと作業しているスタッフがいた」と、世界的DJすらも「チームラボ」のこだわりには驚いている様子だ。

 「アートファンの方には新しいアート的な体験をしてもらいたいし、せっかく夏なので、小難しいことは置いておいて、光に包まれて騒いで来てもらっても良いし、もちろんデートにも来てもらっても真っ暗でドキドキするので(笑)。多分普通の映画に行く2億7000倍くらいデートは上手くいくと思う」(猪子代表)。

 「チームラボ」の設立は2001年、テクノロジーとアートを融合させた独特の取り組みに、世界中から賞賛の声が寄せられる。「今知っておくべきインスタレーションアーティスト10選」に選出されたこともあり、海外メディアにも度々取り上げられている。

 猪子さんは「海外を意識したわけではないが、たまたま2011年に村上隆さんから『新しいことは海外でやれ』とアドバイスをくださって、展覧会をやらしてもらう機会を作ってくださった。それがきっかけ」と話す。

 「チームラボ」は現在、アメリカ・サンフランシスコ、カナダ、中国・北京、シンガポールなど世界の様々な地域でイベントを行なっているが、中でも佐賀県で開催中の、自然とアートの融合をテーマにした「資生堂 Presents チームラボ かみさまがすまう森のアート展」には強いこだわりがあるという。

 「広大な森と日本庭園を使って、自然をそのままアートに変えるような。木に近づくと木の色が変わって、森中の木の色を変えていく。自然の力をそのまま使って、何か人間の感動だったり、新しい自然と人間の関係に気付けたら良いなと思って」。

 猪子さんのアートへのこだわり、それは「境界の曖昧さ」だ。

 「自分と世界の間に無意識に境界を持ってしまっていると思っている。何かそういう境界が、少しでもなくなっていったらいいなと思っている。没入する体験をしていくと、自分は世界の一部なのではないかと感じられるような気がする」

 そんなウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」では、ではどのような人たちがどのような思いを持って活動しているのだろうか。文京区・本郷にある「チームラボ」のオフィスを取材した。

 オフィスでまず目に入るのが、独自に開発した受付システム「フェイスタッチ」だ。名前からだけではなく、写真から担当者を探すことができる。

 4つのフロアで働くスタッフは、アニメーターや建築家、数学者にエンジニア、プログラマなど、およそ450人。意外にも雑多な雰囲気で、仕切りもないデスク。フラットな関係を目指しているといい、猪子さんのデスクも同じフロアにある。

 ミーティングスペースにはまるで絵のように動くモニターが。365日、毎日違うプログラムで動いているというアート作品「四季千年神田図 - 田染荘」だ。天候や季節によってモニターが変わるそうだ。さらに、その場で撮影したおもしろ写真をダイレクトにSNSに掲載してくれる「チームラボカメラ」や手に取った服に合わせ目の前の画面におすすめコーデを表示してくれる「チームラボハンガー」など、未来を感じるプロダクトがそこかしこに設置されている。

 最後に訪れたのは、世界を魅了するプロダクトやアート作品を生み出す工作室。作業していたエンジニアの小山嘉さんに話を聞いた。「自由な感じが強くて自分のモノづくりを全力でサポートしてくれるような環境が好き」と、工作室こそ、他の会社とは違う誇りだと話す。また、猪子さんについては「作品をよりよく導いてくれるような人。話しやすい」と教えてくれた。ブランディングマネージャーの工藤さんも「別にヒエラルキーの上にいるわけでもなく、チームメンバーの一人」と説明する。

 代表ですらチームメンバーの一人に過ぎないと言い切れるフラットな関係性こそが、猪子さんが作った最高の作品かつ「チームラボ」成功の秘訣なのかもしれない。

 「バイトルpresentsチームラボジャングルと学ぶ!未来の遊園地」は渋谷ヒカリエ9階にて来月10日まで開催されている。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

最終更新:8/19(土) 8:00
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