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【どうする?空き家・上】「放置いいことなし」も増加 相続・位牌が壁、進む老朽化

9/1(金) 6:30配信

沖縄タイムス

 過疎化や住宅の供給過剰などによって全国的に増えている空き家。沖縄県内の2013年の空き家率は10・4%で、本土復帰直後の1973年と比べ2倍に増えた。人が住まなくなった家は傷みやすく、せっかくの財産が負債になる恐れもある。活用したいと考える人も多いが、先祖代々の家への思い入れや相続手続きなどが足かせとなり、売買や賃貸の動きは鈍いのが現状だ。県内の「空き家問題」を探った。(学芸部・榮門琴音)

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 5年ごとの総務省「住宅・土地統計調査」によると、県内の空き家率は73年の5・1%から98年には11・1%まで上昇。2013年は前回調査の08年5万8400戸(10・3%)から4千戸増の10・4%となった。沖縄は都道府県の中でも数少ない人口増加地域だが、離島や本島北部などから那覇市など都市部への人の移動が進み、新設住宅の供給が増えていることもあって、空き家が増えている現状がある。

 「空き家を放置していて、いいことはない」。わたなべ税理士事務所(名護市)代表の渡辺茂樹さんは言い切る。維持管理を怠って老朽化すれば、倒壊や火災の恐れがあるほか、地域の景観にも影響を及ぼす。さらに、空き家対策特別措置法に基づき「特定空き家」に認定されると、土地の固定資産税が最大6倍になるなどのリスクもはらむ。

 渡辺さんによると、本島北部では、家の所有者が海外に移り住んでいたり、亡くなって時間がたっていたりするなど、相続手続きが難しくなっているケースも多いという。法定相続人全員の実印がないと名義変更はできないため、活用は進まない。渡辺さんは「先祖の土地を大切にする感覚と、相続関係の法律との板挟みで中ぶらりんになっている物件が増えている」と説明する。

 相続問題が解決しても、沖縄では空き家に、仏壇や位牌(いはい)があり、行事の時には家を開けて使う人も多い。先祖代々の土地や建物への愛着に加え、位牌継承への義務感、改修費用がかさむなどの理由もあり、所有者は売買や賃貸に積極的ではない。

 「朽ち果てれば文化もトートーメーもお金も消えてしまう」と渡辺さん。沖縄の伝統的民家を借りたいというニーズは移住希望者を中心にあるとしながらも、「市場のメカニズムで解決するには厳しい状況。公的に取り組む時期に来ている」と指摘した。

 [ことば]空き家対策特別措置法 適切に管理されていない空き家が増え、地域の防災や衛生などに深刻な影響を及ぼしていることから、生活環境保全と、空き家の活用促進のため2015年に施行された。市町村は、放置すれば危険な空き家を「特定空き家」とし、所有者に必要な措置を講じるよう命令、従わない場合は強制的に撤去することができる。また住宅用地に対する固定資産税の特例措置を解除し、増税が可能になる。

最終更新:9/2(土) 13:00
沖縄タイムス