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「最大のプレゼントは人の行き来なんです」 糸井重里さんと、いまだから福島の話

2017/9/2(土) 11:19配信

BuzzFeed Japan

「いまの福島に必要なのは、支援じゃないんです。最大のプレゼントは人の行き来なんです」。ほぼ日社長として事業を通じて東北、そして福島に関わってきた糸井重里さんはそっと語った。いま、福島とどう向き合えばいいのか。【石戸諭 / BuzzFeed Japan』

2011年3月11日からのことが、なんとなく気にはなっているけれど、どう関わっていいかわからない。

福島について、なにか調べようにも「もう福島には住めない」「危ない土地だ」という論が目立って、なんとなく関わりを避けてしまう。

震災、原発事故からまもなく6年半ーー。

少なくない人にとって、福島はそんな土地になってしまっている。

それをどう考えたらいいのか。話は広島のことからはじまった。

《ネガティブな感情を刺激する言葉は薄く広く、人々の意識のなかに残っていく》

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--僕は終戦直後(1948年)の群馬の生まれですが、子供のころ、近所の人たちのひそひそ声はふつうに聞こえてきましたよ。

「広島から嫁をもらっても子供を残せない」。そんなことが当たり前のように言われていたんですよ。

明確に差別しようと思っているわけではない。でも、特段の根拠もなくそんなことを言ってしまう。

あの頃は、広島はペンペン草も生えないっていうのがあたかも常識のように語られていて、広島の人に対して「もし、結婚して子供が産まれなかったら、もしなにかあったら…」という気持ちを持って、接している人がとても多かったと思うんですね。

「もし、なにかあったらどうするんだ」という言葉はとても強くて、すべてを台無しにしてしまうんです。

ネガティブな感情を刺激する言葉は薄く広く、人々の意識のなかに残っていく。

僕が子供のころ、原爆でなにが起きたかは図書室の本を広げないとわからなかったんですよ。「ケロイド」って言葉は知っていても、それがやけどの跡だとも知らなかったんです。

好奇心から広島や長崎の本を誰かが見つけて、開くんです。みんなで「こんなことがあったんだ」と見るじゃないですか。

そしたら、その好奇心を先生に怒られるんですよ。それは先生にしてみれば当然の判断だったかもしれない。

なんとなく、原爆のことは口に出してはいけない、このまま消えていくのを待とうという空気があったんでしょうね。

だから大人になってから、復興した広島に行くとペンペン草も生えない話とかまったく違うじゃないかと思うわけですよ。子供もいるし、生活している人の姿をみるわけです。

誤った常識は不勉強の塊だなぁと思いました。

いまでこそ、広島といえば普通の都市ですよね。それが普通になっていくまでに、どれだけのことがあったのか。僕はその時代も生きているからわかるんです。

広島カープがあって、永ちゃん(矢沢永吉)がいて、吉田拓郎がいて、奥田民生、Perfumeがいて、カキやお好み焼きがあって、MAZDAの車もでてきて、原爆ドームを残そうとした人がいて、ついにオバマ大統領(当時)がやってくる……。

時間をかけてネガティブな言葉の上に、ポジティブな言葉を乗せていくことで広島のイメージは変わりましたよね。
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最終更新:2017/9/2(土) 11:19
BuzzFeed Japan