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編成部長から飛び出した「非常事態」宣言 フジテレビは変われるのか?

9/6(水) 18:19配信

スポーツ報知

 「今、フジは完全に非常事態です」。4日に東京・台場のフジテレビ本社大会議室で開かれた10月クールの番組改編発表会見。本来、自信の新番組をお披露目する華やかな場で、ひな壇の中央に座った立本洋之編成部長の口から危機感たっぷりのセリフが飛び出した。

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 確かに同局の10月クールの改変率(番組の変わる率)はゴールデン帯(午後7時~10時)34・3%。プライム帯(午後7時~11時)29・8%という大規模なもの。45か月連続で月間視聴率「三冠」を続ける日本テレビの10月期番組改編発表会見も5日に行われたが、ゴールデン帯の改編率は「ほぼ無改編です」(岡部智洋編成局次長)という4・8%。両局を比べると、フジの改変は、まさに大改造と言えるものだった。

 配られた資料の1ページ目に書かれたのが、「『変える、変わる』ためにフジテレビを“reboot(リブート)”します」という大文字。キーワードは「再起動」を意味する「リブート」。資料には「美辞麗句を並べるつもりはありません。フジテレビが生まれ変わるために、フジテレビは頑張ります」という悲壮な文章まで添えられていた。

 象徴的なのがテレビ朝日系「報道ステーション」終了後、三顧の礼で迎え入れた古舘伊知郎氏(62)の「フルタチさん」(日曜・後7時)の終了。同番組は昨年11月、常に20%前後の平均視聴率をたたき出す日本テレビ系「イッテQ!」などがひしめく日曜の激戦区に乗り込んだものの、最新3日放送回の視聴率が4・7%と“惨敗”。1年での同枠撤退となった。

 「報道ステーション」降板後、初のレギュラー番組だった古舘氏にとっても、無念の降板となったが、「リブート」の舞台として同氏司会の新番組「モノシリーのとっておき~すんごい人がやってくる!~」が金曜・後7時枠で用意された。

 立本編成部長の「非常事態」発言は、この古舘さんの番組の終了、そして“異動”について聞かれた際に飛び出したものだった。「『フルタチさん』が1年で終わってしまうということですが、今、何をするかということで考えた結果。今の非常時に置いて、何をするかということです」。BSフジで16年に渡って編成に従事。今年4月からフジの編成部長に就任した“編成のプロ”は引き締まった表情でそう言った。

 確かに10月クール開始のドラマでも、フジの「本気度」は伝わってくる。最新の平均視聴率15・4%と絶好調の山下智久(32)主演「コード・ブルー~ドクターヘリ緊急救命~THE THIRD SEASON」の後を継ぐ同局の看板枠「月9」には初の「月9」主演となる篠原涼子(44)の「民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?」。篠原は自慢のロングヘアをバッサリ切って登場するという。

 火曜・後9時の「明日の約束」に主演するのは2年ぶりの連ドラ主演となる井上真央(30)。木曜・後10時の「刑事ゆがみ」主演の浅野忠信(43)は初の民放連ドラ主演。「初」「~年ぶり」という言葉が並ぶ大物俳優集合に「ドラマのフジ」復活にかける思いが伝わってくる。

 一方で報道部門でも市川紗椰(30)がキャスターを務めた「ユアタイム」を1年半で終了させ、局アナとして大事に育成してきた椿原慶子アナウンサー(31)と松村未央アナウンサー(31)をキャスターに据えた「THE NEWS α」を10月2日からスタートさせる。立本編成部長は「局アナに代わったということで前とは全く違った形。基本に立ち返った形でニュース、スポーツを真摯に伝えたい」と力こぶを作った。

 そうだ。「真摯」という言葉もキーワードだ。6月28日の株主総会で退任した亀山千広氏(現BSフジ社長、60)時代、広告収入など本業の利益を示す営業利益は4年間で約4分の1に減少。この不振からの脱却には真摯に、根本的に「変わる」ことしかないのだ。

 改編発表会見に同席した石原隆編成統括局長(56)は過去、三谷幸喜さんと組んだ「王様のレストラン」「古畑任三郎」などヒットを連発した名プロデューサーだった大物テレビ人だが、会見後にあいさつすると、「作り手の本気度が伝わる会見ではなかったですか?」―。巨体を揺すって、そう言った。

 以前、「コード・ブルー」のヒットの理由を聞いた時にとても印象的だった石原氏の言葉がある。「プロデューサーの増本淳という男は24時間『コード・ブルー』のことを考えている男なんです。制作サイドにそういう人間がいる作品の熱さは、必ず視聴者に伝わると思っています」―。

 そう、真摯さと熱さこそが「リブート」のためのキーワード。復活を期すフジテレビ幹部の真剣そのものの言葉の数々は、スポーツ新聞というネットに押され気味の「非常事態」の紙媒体で働く自分の心にもズシリと響き渡った。そんな、お台場の午後だった。(記者コラム・中村 健吾)

最終更新:9/7(木) 2:27
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